8話 ページ9
あの二人はすでに学校を出たようだ。
二人はどこへ行ったのか？
手がかりは一つ。
ゆうべ、創也たちが消えた場所だ。
そこにいけば、何かが見つかるかもしれない。
僕は校門を出ると、駅へ向かった。
途中、コンビニの前で座り込んでいるクラスメイト数人に声をかけられた。彼らもクラブに入っていない。
「おーい、内人。これからカラオケ行くんだけど、一緒に行かないか？」
カバンを抱えて走っている僕は、足を止めずに言う。
「悪い！今日は用事があるんだ！また今度な！」
「なんだよ、つきあい悪いな…」
そう言う声を背中で聞きながら、ぼくは駅に向かった。
駅前で、お姉さんが配ってるティッシュをもらい、ポケットへ入れる。
三つめの駅で降りて、売店でお昼ご飯を買う。今日は家で食べる予定だったから、痛い出費だ。
そういう意味でも節約して、菓子パン１つと紙パックの牛乳にする。
歩きながらパンを食べ、牛乳を飲む。
菓子パンは何かあった時のために半分残しておいた。
紙パックは、水気をきってたたみ、カバンに入れる。
そうやってるうちに、ゆうべ創也たちが消えた通りに着いた。
ゆうべと違って、行き交う人も多い。
そして、歩道の横。昨日と同じ黒塗りの大型車が停まっている。
やっぱり、この通りに創也たちが消えた秘密がある_____僕は、そう確信した。
冷静に考えてみよう。
まず、創也たちは消えようとして消えたのではないということ。
僕の尾行に、創也たちは気づいてなかった。
つまり、消えたのではなく、消えたように見えただけ。
では、どうやったら消えたように見えるか？
僕は、歩道沿いに並んだビルを見る。
どれも10階以上ある大きなビルばかりだ。
1番考えやすいのは、このビルのどれかに創也たちが入っていったってこと。
でも、あの時間は大抵のビルが閉まっていた。
それに、中学生の創也たちが勝手に入れるところなんてあるんだろうか…？
僕は、ここから100メートル先の交差点までに並んでいるビルを、１つ１つチェックすることにした。
興信所やカルチャーセンターの入った雑居ビル、音楽雑誌を作ってる小さな出版社のビル…
どれもこれも、創也たちとは関係なさそうなビルばかりだ。
その時、僕の足が止まった。
ビルとビルの間…そこに、狭い路地があった。
いや、路地というには狭すぎるかもしれない。
幅は50センチもないだろう。
体の大きい人なら、肩がつっかえてしまうくらいだ。
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すた(プロフ) - 円陣はずれさん» ありがとうございます！ (7月27日 22時) (
レス) id: 547c4df5f1 (このIDを非表示/違反報告)
円陣はずれ - 都会トムの話って少ないですよね...悲しいです。続き楽しみにしてますして！ (2023年2月25日 22時) (レス) id: dd75b894fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すた x他1人 | 作成日時：2022年6月18日 23時
