7話 ページ8
『昨日私たちが消えたと思った場所をもう一度探してみなよ。』
創也「見つけられないようだったら、ゲームオーバーだ」
創也が眼鏡をかける。
途端に、さっきまでの親しみやすさは消え、いつもの創也に戻ってしまった。
「…ヒントとかはないの？」
創也「君は攻略本を頼りにゲームをするタイプかい？それじゃあ本当のゲームの楽しさはわからないよ。」
氷のように冷たい声だ。
本を持った創也が立ち上がり、そのまま図書室を出て行く。
ん？ちょっと待てよ、アイツ、椅子を片付けてないぞ…
創也の分までガタガタと椅子を片付けて顔をあげると、
普段なら創也について回ってるはずのAがいた。
「…えっと…どうかした？」
『内藤くん、さっき鍵もらってたでしょ？…私たちの砦、頑張って見つけてね。きみは面白いから…いつでも歓迎するよ。』
そう言って創也を追いかけて図書室を出て行った瞬間、始業のチャイムが鳴った。
僕は慌てて図書室から飛び出し、教室へ駆け込んだ。
授業中、僕は上の空だった。
教科書に意識を集中しようにも、創也に渡された鍵に気持ちがいってしまう。
ペンケースの上に置かれた鍵。銀色の冷たい光を放っている。
創也はというと、窓際の席で退屈そうに外を見ている。
Aにいたってはうとうとしている始末だ。
二人とも教科書は開いているものの、ノートを取ろうとしない。これでいつも成績優秀なんだから、どんな頭脳をしてるんだろう？
先生も慣れたもので、二人にはお構いナシに授業を進めていく。
僕はもう一度、ペンケースの上の鍵を見た。
鍵はいつだって何かをやってくれる。
家の鍵は僕に晩ご飯を与えてくれる。
学校のロッカーの鍵は、持ち帰るには重い辞書と、母さんに見せたくないテストを隠してくれる。
この鍵は、一体何をやってくれるんだろう…
午前中の授業が終わった。
今日は先生たちの研修があるそうで、午後から授業はない。
先生「つまらん話を聞かされるみんなの気持ちが、よくわかるよ」
クラブのある連中は、弁当を広げ始めるけど、僕もあの二人もクラブに入っていない。
カバンに荷物を入れると、僕は急いで教室を出た。
二人は一足先に教室を出ている。
なんせ、教科書類を全て学校に置きっぱなしの人たちだから、帰り支度に時間がかからない。
校庭に出て創也たちを探すけど、見当たらない。
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すた(プロフ) - 円陣はずれさん» ありがとうございます！ (7月27日 22時) (
レス) id: 547c4df5f1 (このIDを非表示/違反報告)
円陣はずれ - 都会トムの話って少ないですよね...悲しいです。続き楽しみにしてますして！ (2023年2月25日 22時) (レス) id: dd75b894fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すた x他1人 | 作成日時：2022年6月18日 23時
