4話 ページ5
達夫「おーい、内人！ゆうべの“ロック・ステーション”見たか？」
教室へ入ると、さっそくクラスメイトの達夫が話しかけてくる。
今、うちのクラスでは“サンバイズ”って名前のビジュアル系のロックバンドが流行りだ。
「う…ん、まあな」
適当に言葉を濁す。
なんせ、ゆうべは創也を追いかけてて帰るのが遅くなった。
それに最近、歳のせいか体が疲れてる。
だから、ビデオ録画しておいた“ロック・ステーション”を見る元気がゆうべはなかった。
それでなくても最近寝不足気味なんだ。
達夫「最高だったよな。リードギターの采音がアドリブやってくれてさ！」
机に腰掛けて箒を抱えた達夫が、ゆうべの興奮を再現しようと左手でほうきの柄を押さえ、右手をシャカシャカ動かす。
だけど、残念な事に、ほうきはほうき。達夫が頑張っても、埃が飛び散るだけだ。
ここだけの話、ぼくはあんまり音楽に興味はない。
一応みんなとは話を合わせてるけど、ロックはやかましくていまひとつ好きになれない。
本当は映画音楽が好きなんだけど、そんな趣味を持ったやつはまわりにいないし…
達夫「今度サンバイズのギグがあるんだ。チケットを手に入れるから、一緒に行こうな！」
「ああ……楽しみだな」
その返事があまり気乗りしてないように聞こえたのか、心配そうに達夫が僕の顔を覗き込む。
達夫「どうしたんだ？」
「いや、なんでもないよ。ちょっと寝不足でね。…それより、創也とAは？」
達夫「創也たち？教室にいないんなら、いつもの場所だろ」
創也とAは図書室が好きだ。教室で本を読んでないとき、たいてい図書室にいる。
達夫に礼を言って、僕は図書室を出た。
始業のチャイムまでは、まだ20分くらいある。
昇降口から教室へ向かうみんなの流れに逆らって、4階の図書室へ向かった。
朝のざわめきも、4階までは届いてこない。
静かな廊下に、僕の上履きの音だけがペタペタ響く。
図書室の扉を開けた。中にいるのは創也達だけだ。
朝日の入ってくる窓際に椅子を置き、足を組んで本を読んでいる創也と、その近くの椅子に座ってじっくり本を読んでいるA。
今まで彼らの顔をじっくり見たことがなかったけど、二人ともかなり美形だと思う。
人は顔じゃないと思うものの、やっぱり羨ましい。
僕のルックス？それはご想像にお任せしよう。
母さんが僕をアイドル養成学校にいれようとしないことから、ある程度はイメージできるんじゃないだろうか。
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すた(プロフ) - 円陣はずれさん» ありがとうございます！ (7月27日 22時) (
レス) id: 547c4df5f1 (このIDを非表示/違反報告)
円陣はずれ - 都会トムの話って少ないですよね...悲しいです。続き楽しみにしてますして！ (2023年2月25日 22時) (レス) id: dd75b894fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すた x他1人 | 作成日時：2022年6月18日 23時
