1話 ページ2
内人サイド
平日半額ってことは、土、日、祝日は倍額ってことだよな…。
ぼくは、ハンバーガーショップの入り口につけられた
「平日半額！」
ののぼりをみて思った。
金曜日には二個買えるハンバーガーが、土曜日は一個しか買えないってのは、なんか、だまされてるような気がする。
二十四時間営業のハンバーガーショップ。今は火曜日の午後十時。もし今日が日曜日だったら、明日まで待ってから、僕はハンバーガーを買うことだろう。
「いらっしゃいませ。ポテトはいかがですか？」
アルバイトのお姉さんは、中学生のぼくにもマニュアルどおりにポテトをすすめて、
僕は百円玉を一個だし、ハンバーガーを買う。
「ありがとうございました」
おつりといっしょに
「ふー…。」
店の外に出て、空を見上げる。
ビルに切り取られた夜空に、春のかすみがかかった三日月が光っている。空気は乾いているけど、そう寒くない。
どこからともなく、甘い匂いがただよってくる。
ここは、商社や銀行、学習塾などがあるビジネス街。
今の時間、人通りはすくない。
見かけるのは、残業で疲れたサラリーマンや、僕と同じ塾帰りの子どもたち。
ぼくは、ハンバーガーを食べながら、駅の道を歩いた。
ショルダーバッグの中で、ペンケースがカチャカチャ音を立てる。そのリズムは、まるで行進曲みたいだ。
手にケチャップがつかないように食べてから、ハンバーガーの包み紙を丁寧にたたみ、バッグに入れる。
そのとき、ぼくは見た。
歩道のずっと向こう____ふたりの中学生が歩いている。
ぼくの視力は両目とも2・0。
「目がいいのは、勉強しないからだ」
って母さんによくいわれるけどね。
だから、見まちがえるはずがない。
あのふたつの後ろ姿は、ぼくと同じクラスの竜王創也と、AAだ。
Aは茶色のチョッキに白いロングTシャツ、赤いネクタイ、濃い灰色のズボン。創也は黒い帽子に黒いリストバンド、黒いジーパン。はおってるのは、変わったデザインの黒いブルゾン。その上スニーカーまで黒といった、全身黒ずくめのファッションの創也とAが歩いている。
ときおり月を見上げながら、軽やかに歩いていく創也。そんな創也を見て釣られて月を見上げるA。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すた(プロフ) - 円陣はずれさん» ありがとうございます！ (7月27日 22時) (
レス) id: 547c4df5f1 (このIDを非表示/違反報告)
円陣はずれ - 都会トムの話って少ないですよね...悲しいです。続き楽しみにしてますして！ (2023年2月25日 22時) (レス) id: dd75b894fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すた x他1人 | 作成日時：2022年6月18日 23時
