____133 side S ページ39
Shota side.
「いい人、見つけたんだな」
「....」
俺は天井に向かって深く長く息を吐き出す。
認めたくない現実を受け入れるように。
....仕方ない。
それが最善の道だったんだ。
だって俺らは、普通じゃないから。
でもその普通じゃない道を選んだのは他でもない自分自身。
Aに普通の幸せを与えてあげられる人が見つかって良かったじゃねーか。
そう言い聞かせるように俺はその場をぎこちない笑顔で取り繕った。
...
____そしてそれから半年が経った
12月22日
人生を変えたあの日から丸5年。
俺は白い息を吐き出しながら一人階段を上がる。
階段を上がった先には東京の夜景が広がっていて、妙に煌めく街にまた白い息を吐き出した。
訪れたのは、最初で最後の思い出のあの場所。
女々しいと思われたっていいよ。
もうどうせここに来るのはこれで最後なんだ。
最後くらい、感傷に浸ったっていいだろ。
「....皮肉ってこういうことを言うんだろうな」
独りで来たってこの夜景は5年前と変わらず綺麗で、囚われて抜け出せない自分にとってはあの日に戻ったかのように錯覚してしまう。
「もしかして時間戻ってる?....んなわけねぇか。そんなことあったらネコ型ロボットもビックリだわ」
フッと鼻で笑いながらその夜景から視線を逸らした先。
ベンチに腰掛けた人影が目に入る。
その人影を見た俺は反射的に身体を強張らせた。
そこには見紛えるはずもない、俺が想い続けた人が座っていたから。
ほんの一瞬だけ、本当にあの日が戻ってきたのかと思ってしまう。
でもこの胸の高鳴りも肌を刺す空気の冷たさも、全てが『これは現実である』と叫んでいるから、呼吸が乱れていく。
「何でだよ....」
俺はその人影に向かって思わず言葉を溢した。
.
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cleam(プロフ) - 花恋さん» 花恋様、お返事が大変遅くなってしまい申し訳ありません……コメントをいただいていたのに見落としてしまっておりました🙇🏻♀️とても素敵なコメントをいただけて嬉しく思います。ありがとうございました🙇🏻♀️ (12月14日 20時) (レス) id: e2ba919ba9 (このIDを非表示/違反報告)
花恋 - cleam様、完結おめでとうございます...!今まで沢山の素敵なお話をありがとうございました!毎回楽しく読ませて頂いてましたが、特に今回の作品はまるで一本の映画を見ているようでめちゃくちゃ感動しました。本当にお疲れ様でしたありがとうございました...!! (2022年3月24日 3時) (レス) @page50 id: b45d38f13c (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ぺふさん» ありがとうございます( ; ; )うわぁ....1番好きだなんて嬉しすぎて何と表現したら良いか、(涙)最後まで楽しんでもらえて本当に良かったです。そしてお心遣いもありがとうございます。全力で頑張ってきます! (2022年3月21日 7時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます😭たくさんたくさんお読みいただけて光栄です....!今は少しロス(?)状態ではありますがこれから来る新生活、頑張りたいと思います!そうですね^^これからも活躍する9人をいっぱい応援していきましょう!ありがとうございました! (2022年3月21日 7時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - asami13さん» ありがとうございます( ; ; )わぁ、良かった....( ; ; )またいつか書ける日が来ることを夢見て実生活の方を全力で頑張りたいと思います!ありがとうございました! (2022年3月21日 7時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cleam | 作成日時:2022年3月3日 0時