＿＿＿＿１２７ ページ33
.
それから、定期的に見るようになった悪夢。
ゆうくんといる方が絶対に幸せになれると確信しているはずなのに、脳裏にチラつく翔太の面影を完全に消し去ることが出来ないまま、気付けば4年強の歳月が経っていた。
年齢は32を迎えた。
周りはとっくに結婚していて、久しぶりに連絡が来たかと思えば『子供が生まれた』『小学生になった』そんな祝い事の通知ラッシュ。
その度に『Aはまだ結婚しないの？』なんて聞かれてしまうから、グループ内唯一の独身である私はすごく息苦しくて堪らなかった。
それと同時に二度もプロポーズに返答をしない私に呆れることなく「Aのタイミングでいいよ」「俺がAを嫌いになることなんてないよ」と優しい言葉をかけ続けてくれる彼にもまた、申し訳なさが募って息苦しさを感じていた。
それもこれも、原因は自分でしかないのに。
私がいつまでも過去に囚われているからなのに。
タイムリミットは刻々と迫っていた。
「ゆうくん」
「ん？」
三度目のプロポーズに首を振らずにレストランを後にした私たち。
帰り道、彼の背中を見ながら覚悟を決めた。
「もう大丈夫」
「え....」
「いっぱい待たせてごめんね」
三度目にしてようやく、彼のプロポーズを受け入れることにした。
もうこれ以上、彼の人生を振り回すなんて出来なかった。
私は今、上手く笑えているだろうか。
彼には私の��無理��も��嘘��も見破られる。
私が決めたことだから、バレちゃいけない。
「....ほんとに？」
「うん」
「俺でいいの？」
「....うん」
どこかの誰かが『別の誰かを想ってウェディングドレスを着ることもあるのよ』なんて言っていた言葉。
絶対にあり得ないと思っていた。
そんなこと私がするはずない。
他人事だとしても不倫や浮気を許せない堅物だから。
....絶対に、そんなことない。
体も心も全て捧げられる人と一緒になるんだって、
そう思っていたのに。
「ありがとう。絶対に幸せにする」
彼は私を強く強く抱きしめてくれた。
私も同じように抱きしめ返す。
もうこれで、後戻りは出来ない。
過去に囚われることももう終わりだ。
私はもう1人の人への想いを消しきれないまま、別の人と結婚する道を選んだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3054人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cleam(プロフ) - 花恋さん» 花恋様、お返事が大変遅くなってしまい申し訳ありません……コメントをいただいていたのに見落としてしまっておりました🙇🏻♀️とても素敵なコメントをいただけて嬉しく思います。ありがとうございました🙇🏻♀️ (12月14日 20時) (
レス) id: e2ba919ba9 (このIDを非表示/違反報告)
花恋 - cleam様、完結おめでとうございます...！今まで沢山の素敵なお話をありがとうございました！毎回楽しく読ませて頂いてましたが、特に今回の作品はまるで一本の映画を見ているようでめちゃくちゃ感動しました。本当にお疲れ様でしたありがとうございました...！！ (2022年3月24日 3時) (レス) @page50 id: b45d38f13c (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ぺふさん» ありがとうございます（ ; ; ）うわぁ....1番好きだなんて嬉しすぎて何と表現したら良いか、（涙）最後まで楽しんでもらえて本当に良かったです。そしてお心遣いもありがとうございます。全力で頑張ってきます！ (2022年3月21日 7時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます😭たくさんたくさんお読みいただけて光栄です....！今は少しロス（？）状態ではありますがこれから来る新生活、頑張りたいと思います！そうですね＾＾これからも活躍する9人をいっぱい応援していきましょう！ありがとうございました！ (2022年3月21日 7時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - asami13さん» ありがとうございます（ ; ; ）わぁ、良かった....（ ; ; ）またいつか書ける日が来ることを夢見て実生活の方を全力で頑張りたいと思います！ありがとうございました！ (2022年3月21日 7時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cleam
| 作成日時：2022年3月3日 0時
