【２】田中さんと深澤さんに取り合いされてます。 (ページ12)

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紫だけに染まればいいページ12

深澤side

仕事終わり、帰ろうと駅に向かっている時

樹からの通話

「もしもし？」

出てみれば焦った声

事情はよくわからないめちゃくちゃ焦ってて

とにかく、来てほしい探してほしい

そう言われた

暗くなってきてるし可愛いから

変な奴に絡まれたりしたら嫌だな

俺は急いで彼女の最寄りへと足を運んだ

電車に乗っているときは

気が気でなくてラインをいくら送っても

既読はつかない

「…くそ……」

はやく見つかるといいけど

駅につき、急いで階段をかけ下りる

とりあえず家の方へ向かおうと

走りだそうとすると男女の揉めている声

"いやっ！！やめて……はな、して…！"

久々に聴いた彼女の声

「おい」

辰哉くんそう言って俺をみた子は

紛れもなく大好きな俺のA

男はそそくさと逃げていき

二人だけの時間が流れる

大丈夫かと顔を覗きこめば

駅の明かりに照らされた赤いシルシ

樹テメェ……

「帰ろ。」

さっさと帰って俺色に染め直さなきゃ

青にはさせない紫だけに染まればいい

俺色だけに染まればいいんだよ

俺が怒っている理由がわからないのか

焦ったようにでもしっかりと着いてくる彼女

……はやく抱こう。

お互い走ったから疲れてることもあるし

自販機で飲み物を買って一緒に飲んで。

また歩き出そうとすると

樹の声。

言いたいことはたくさんあるけど

見たこと無いくらい悲しそうな顔をしていて

追いかけることはできたけど

しなかった

それよりも今はAを抱きたいからね

『辰哉くん…会いたかった……ごめんなさい』

「俺も…中々連絡もとれなくて……ごめん」

『…好き……あいた、かった…』

緊張がきれたのかポロポロと涙をこぼす

「ん……俺も……愛してる」

抱き寄せて頭を撫でる

「ほら…帰って、ゆっくりしよう」

月明かりに照らされながら

家へと急いだ