＊60 ページ15
.
あの出来事があってからサークルも抜けてしまって、先輩と大学で会うこともなかった。
忘れていたと思っていたけど、いざ本人を目にすると
嫌な思い出が蘇って来て辛くなる。
.
しかも、なんでこんな時に、
よりによって阿部さんといる時に。
.
あ 「サークルの先輩です、あの例の…」
阿 「…っ」
あ 「なんかごめんなさいっ！違う道から行きましょう、」
.
そう言ってくるり、方向転換しようとした身体は阿部さんが私の手を掴んだことにより拒まれる。
そのまま右手に彼の左手が重なり
阿部さんはその先輩の方へと歩いていく。
.
あ 「阿部さん、？」
.
先輩に気付かれちゃう…
.
なんて思えば、案の定、その先輩は私に気付いて、あ。なんて声を出すの。
.
やっぱり気付かれちゃった。
隣の可愛らしい女の子はキラキラした瞳で阿部さんを見てる。
.
『どうしたの？あの子知り合い？』
『んっ、あぁ。サークルの後輩。まぁ元、だけど、』
『隣の人超かっこいい〜』
.
ただ一方的に気付くだけではなく、向こうからも気付かれてしまった。
せっかくの楽しいデートが…本当に不運だ。
.
こわい。苦しい。
.
だけど、目を瞑った
二人とすれ違うその瞬間、
阿部さんの私を包み込む手がギュッと強くなった。
.
阿 「次はどこ行こっか？A。」
あ 「えっ、」
阿 「楽しいね、デート。」
.
ふふ、って優しく微笑んだ阿部さん。
.
今、私のこと、Aって言った？よね…？
.
すれ違い様に聞こえた彼氏出来たのかよ。なんて先輩の声。
そのまま、その二人は反対側へと歩いていった。
.
阿 「ふぅ。なんだか息が詰まりそうだったぁ…」
.
あ 「…い、今、」
阿 「あっ、だめだった？」
あ 「いや、そういう訳じゃ、」
阿 「俺がそう呼びたかったから呼んだの。」
.
『A』って私を呼び捨てで呼んだ阿部さんの男らしい声が忘れられなくて。
なんで、
阿部さんは突然私をそう呼んだんだろう、なんて…
.
阿 「ちょっと、連れて行きたい場所があるんだけど…」
あ 「へっ、」
阿 「行こっ？」
.
その手は繋がれたまま、少年のような笑顔を見せた阿部さんにただただ着いて行った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1342人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くろーばー。(プロフ) - みさん» コメントありがとうございます（ ; ; ）長い間、お付き合い頂いて本当にありがとうございました(*´-`)大変失礼致しました…！ただ今、訂正しましたので、もう一度検索かけて頂けたら光栄です(;_;) (2021年6月5日 2時) (
レス) id: 26eb535dc1 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - 完結おめでとうございます！ くろーばー。様と思われるTwitterのアカウントが見当たらないのですが、IDは記載されたものであっていますでしょうか…？ (2021年6月5日 1時) (レス) id: c4f2e19ccf (このIDを非表示/違反報告)
くろーばー。(プロフ) - ゆまさん» コメントありがとうございます（ ; ; ）嬉しいです…！！ようやく二人が結ばれて私もホッとしています(*´-`)こちらこそ長い間お付き合い頂き本当にありがとうございました(>_<) (2021年6月1日 18時) (レス) id: 17aebd3aea (このIDを非表示/違反報告)
ゆま(プロフ) - 完結おめでとうございます。主人公ちゃんがとても可愛くて早く幸せになってもらいたいと思い続けていたのでようやくとニヤニヤしながら昼休み読んでいます。素敵なお話をありがとうございました。 (2021年5月30日 13時) (レス) id: efc30086d3 (このIDを非表示/違反報告)
くろーばー。(プロフ) - mitsuwakoさん» コメントありがとうございます（ ; ; ）完結までお付き合い頂き本当にありがとうございました…！そう仰って頂けて幸せです…残りのあと書きにも是非目を通して頂けたら幸いです(*´-`) (2021年5月30日 9時) (レス) id: 375aea14dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くろーばー。
| 作成日時：2021年5月3日 15時
