彼は私に冷たい【snr】

３. ページ8

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「ただいま」と小さく呟いて、家に入るもリビングに明かりは無く、まだセンラは家に帰っていないということが伺えた。その事実にどこかほっとしている自分もいた。…不機嫌なセンラはいつもの表情よりも少しだけ怖いから。


小さくなる通知音に気付き携帯を見てみれば、浦島のメンバーとご飯を食べてくるとのこと。そこまで遅くならないって言ったくせに…と内心ごちる。愚痴を零したところで現実が変わる訳でもないし、小さく息を吐きタッパーに詰めてあった作り置きの惣菜を幾つか取り出し、盛り合わせてテーブルに並べる。


最近は一人で食事をする事も殆ど無かったから少し寂しかったなんてことは私だけの秘密にしておこう。


お酒でも飲んでいるのか、センラは中々帰ってこなくて。少し気まずいと思ってしまう傍ら何時に帰ってくるの？なんて連絡は出来なくて、何度もメッセージを打っては消し、打っては消しと繰り返し、遂に送ることを諦めた。


お風呂に入って私もお酒を飲もう、とソファから腰を上げた瞬間、鍵を開ける音がする。…タイミングが悪すぎる。

急いで脱衣所に向かう手もあったけれど、多分センラと出くわさないように急いで行けば、足音が玄関まで聞こえるだろう。流石にそれは、と思い留まり、風呂に行くのを諦めて再びソファへ腰を下ろせば、玄関からリビングへ通じる扉が開く。


お酒でも飲んできたのか、想像していた不機嫌の表情よりも幾分か柔らかい表情だった。


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