16 ページ16
.
無事、プロジェクトを成功に納め
かつ、翔太との時間があと1週間に迫った今日。
とてつもなく気まずい時間が流れている。
あたしは今、プロジェクトで使った資料をしまうために資料室に来ていた。
そしてなお、彼女もまたここにいる。
とりあえず、気に留めず作業していると
中「Aさん…ですよね」
『っ！？あ、はい』
中「風の便りで聞きました、本社に異動になること」
『…営業部にも届いてたんですね』
中「まあ、、。
…グダグダ言うの嫌いなので率直に言わせていただいてもいいですか？」
資料の棚越しに聞こえる声。
とても可愛くて澄んだ声の彼女と言葉を交わすのは
初めてと言っていいだろう。
お互いに存在は嫌という程、認知していたのに。
同じ人を好きになった宿命みたいなものだと思う。
『翔太のこと、だよね』
中「…そうです。
私は翔太先輩のこと、本気で好きなんです。
こんなに人を好きになるのは初めてで、彼女いるって分かってても止められませんでした」
『…うん』
中「私、諦めませんから。
必ず落としてみせます」
『、、翔太から聞いてない？
あたし達…、別れるんだよ』
中「……え？」
『翔太の気持ちがあたしにないってもう分かってたから。
あなたが一番わかってるはずだよ』
そう静かに言うと、彼女が息を飲むのが分かった。
『でも、あたしはあなたを責めるつもりはないの。
嫌味とかじゃなくて、ほんとに。
素直に翔太には幸せになってほしいから』
翔太が幸せなら、それでいい。
きっと、これは強がりで
ほんとはあたしが幸せにしたい。
でも、その役目はここまでで
翔太との終わりを決めたのはあたし。
『…だから、、翔太のこと幸せにしてあげてね』
彼女の顔を見て、そっと微笑んで資料室を出る。
ほんとに可愛らしくて、翔太が好きそうな子だ。
…悔しいなあ。
大好きだったなあ…。
『あたし、、よく頑張ったね』
人通りの少ない廊下で
そっと涙を拭った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 769人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星(プロフ) - あみさん» お返事遅くなり、申し訳ないです。そんな、初めてのコメントを私なんぞの作品にしていただき、凄く嬉しいです。ありがとうございます！これからもどうぞよろしくお願い致します！ (2020年5月27日 23時) (
レス) id: 0ba7aea0fa (このIDを非表示/違反報告)
星(プロフ) - りささん» お返事遅くなり、申し訳ないです。コメントありがとうございます！そんなこと言っていただけて、本当に幸せです。これからもどうぞよろしくお願い致します！ (2020年5月27日 22時) (レス) id: 0ba7aea0fa (このIDを非表示/違反報告)
あみ(プロフ) - 大好きな作品です！切ない気持ちになりながら読みました。感想書いたの初めてです！続き読んできます。応援してるので、頑張って下さい！ (2020年5月25日 19時) (レス) id: f39d8d3d6f (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - はじめまして！初めて妄想でこんなに泣きました（ ; ; ）応援してます。今すぐ続編読んできます。この作品に出会えて幸せです（ ; ; ） (2020年5月25日 18時) (レス) id: 92e83ae684 (このIDを非表示/違反報告)
やまだ(プロフ) - こんなにも涙が止まらない作品は初めてでした。第二章もとても楽しみにしています。がんばってください (2020年5月24日 17時) (レス) id: 14cf196ee8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星
| 作成日時：2020年5月12日 0時
