ふぇいくかっぷる。《Ryohei.A》 (ページ6)

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『おっ、阿部。ちょうどいい。今日からこの部署に入社する羽瀬、Aくんだ』

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『まだ分からないことも多いと思うから案内してやってくれ！』

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入社初日からびっくり。まさか咲の言葉が現実になるなんて…

こんなドラマや映画のような展開ってあるんだね。

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阿部さんと二人して並んで歩く。

彼とすれ違う度に他の部署の女の子が目を合わせておはようございます！なんて嬉しそうに…

一人一人に笑顔で答えていく阿部さんに好感度は上昇する。

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やっぱり私の予想的中。

初めて見た時もモテそうこの人って思ってたんだ。

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阿「…まさか、だったな。同じところへ配属されるだなんて」

あ「そう、ですね。私もびっくりしてます」

こんな広い会社の中で一緒なんて割と奇跡じゃない？

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阿「えっと、なんだっけ…羽瀬」

あ「羽瀬、Aです。25歳です。よろしくお願いします！」

阿「ふは、ご丁寧に年齢まで。
じゃあ…阿部亮平です。27歳です。よろしくね？」

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そうか。年齢は余計だった。27歳…ということは私の2個上かぁ。

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あ「この前は本当にありがとうございましたっ！」

阿「んっ、一昨日の？」

あ「なんて言うか本当バカですよね、私…」

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何気なく言った言葉。

彼のことだから、そんなことないよ、とかそんな言葉を期待していた…

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阿「うん。あれはバカだったね。笑」

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あ「へっ？」

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横を見ると、阿部さんが笑う。

その笑顔は優しく柔らかい笑顔なんかじゃなく、悪戯な少し悪い笑顔。

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阿「まっ、面白かったよ？」

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ちょっと待って…なんかイキナリキャラが…？

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阿「ねえ」

あ「は、はい…」

阿部さんの少し低い声に思わず身体がビクッってなる。

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阿「社長から社内恋愛禁止って聞いた？」

あ「聞き、ましたけど…？」

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阿「Aちゃんはどう思う？」

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阿「恋愛禁止なんてさぁそんなの退屈だと思わない？」

あ「別に私はそういうの…」

阿「興味、ないんだ？」

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ふと立ち止まった阿部さん。

阿部さんが口角を上げ、ふって笑う。

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気付いたら彼との距離がぐっと近い。

顔を赤くする私にウブだね、と耳元で囁いた。

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なんだこれ…もしかして今この状況って『幻』だったり、する？

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