因果応報 (ページ9)

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紫Side

「初めまして。皆の万能調味料こと塩こうじよりも向井康二です!」

「…っ」

自分がされた仕打ちなんか忘れたかのように
にこやかに二人へと挨拶をする康二に胸が締め付けられた…。

そしてそんな康二を見て、
涙を流しながらその場に崩れためめと阿部ちゃんを、
俺らは直視できなかった…

「どうしたん…大丈夫…ですか…?」

「違う…違うよ康二…っ！何でそんな冗談言うの？ちゃんと謝るから！だからっ！そんな冗談やめてよ康二っ…」

泣きながら康二に必死に縋りつくめめは…

あまりにも可哀想で見てられなかった。

「おい目黒やめろ…。気持ちは分かるけど取り乱すな」

「だって、だって…！」

「ごめんな康二。混乱するかもしれないけど、この二人もメンバーなんだ。こっちが阿部亮平で、こっちが目黒蓮。阿部は俺らとずっと一緒にやってきてて、目黒は康二たちと同じタイミングで一緒にこっちに来てくれたの。」

「へ…？」

「まだ先生に聞いてないから詳しくは分からないけど事故の後遺症かもな…。一部の記憶がないみたい…」

「そんなん…ドラマやん……」

「そうだね、びっくりしたよね。ごめんね康二」

「照くんは悪くないやん…」

一生懸命、康二が混乱しないように
まるで小さい子に話し掛けるかのように優しく話す照。

戸惑いつつも照の話を聞いた康二は動揺していて。

目にはたくさんの涙が溜まっていた。

「最低やん俺…。大事なメンバーのこと忘れるとか…。ごめんな…ごめん…ごめんなさい…阿部くん…目黒くん…」

目に溜まっていた涙は、
動揺からではなく申し訳なさからだったのか…

それが康二らしくて…

悲しくなった。

「違うよ…違う…。悪いのは俺だから…ごめん康二…ごめんっ…」

「ごめん康二…」

未だ縋るように謝り続けるめめが痛々しい

阿部ちゃんも謝ることしかできないんだろう…

そんな二人に掛けてあげる言葉は
最年長のくせに何一つ見つからなかった…。

ただ俺は康二が心配で

「悪いのはお前じゃないよ…。大丈夫だから…大丈夫…大丈夫だよ…」

「ふっかさっ…うっ…うぅっ…」

優しく抱き締めると、
俺の胸に顔を埋めた康二は
声を押し殺して泣いた

ぽん、ぽん。と

そんな康二に大丈夫だよって伝わるように、
ただひたすら頭を撫でてやることしか
今の俺には出来なかった…

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