因果応報 (ページ45)

今日:14 hit、昨日:4 hit、合計:260,924 hit

-45- ページ45

桃Side

「もう、これで最後にしてほしい。」

めめが帰ったのを見計らって康二が言う。

「「？」」

でも、何の脈略もない言葉に
俺も阿部ちゃんも頭にハテナマークが浮かんだ。

「…思い出してんねん、ほんまは」

「え…は…？何言って…」

開いた口が塞がらない…

「さっきステージから落ちたやろ？そん時に全部思い出してん。」

「それ、めめには…？」

「言うてへんし言うつもりもない。…もう、めめのいる世界では向井康二の記憶は一生戻らへん。」

動揺している俺の代わりに問い掛けた
阿部ちゃんへ返された言葉に驚きを隠せなかった。

「他のメンバーには知られてもえぇけどめめには絶対言わんでな？」

「何で…」

「知られたくないねん。」

「何でだよ！」

「阿部ちゃん…。もうえぇやん、しんどいねん」

「めめのこと好きじゃないのかよ！」

「俺は!!!ふっかさんが好きやねん！さっきも言うたやろ！何やねんめめめめって！もうあんな最低な奴のことなんか好きちゃうわ!!!」

いくら個室とはいえ外に聞こえてしまうのではと
心配になってしまうくらいの阿部ちゃんと康二の叫び声。

何も出来ず見てるだけの自分が情けない…

「でももうえぇ！俺にはふっかさんがおるから阿部ちゃんもめめも許す。だからもう余計なことはせんで！」

「嘘つき！だったら俺がめめと付き合うから！めめには興味無いけどあいつ俺のこと可愛いと思ってるし？…それで良いんだな!!!」

「…っ……」

阿部ちゃんの言葉に、
康二は言い返せなかった。

「なんっ…で…そんなこと言うん……っ…」

ぽたぽたとこぼれ落ちる涙に
つられて泣いてしまいそうになる。

「康二ごめん…。ごめんね康二…っ…」

泣いてしまった康二の隣に移動し、
抱き締めてひたすらに謝る阿部ちゃん。

「でもだって…。記憶が戻ったって知っちゃったらそんなの…。さっきの言動全てがめめに未練があると言ってるようにしか思えないよ…」

「好きちゃう…っ…好きちゃうねん…っ…」

「康二…」

「あかんねん…っ…だって俺…っ…ふっかさっ…ふっかさんがおるから…っ」

泣きながら必死に好きじゃない、
俺にはふっかがいると何度も唱える康二に泣きそうになった。

あぁどうして…

どうして神様は康二にばかり
こんな辛い試練を与えるんだろう…

・