因果応報 (ページ43)

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黒Side

おそらく俺と康二を隣に座らせたいらしい
佐久間くんの必死さに、なぜ今日このメンバーで
ご飯に誘われたのか、その理由が分かった気がした。

「ほんまに佐久間くんは阿部ちゃんが好きやね。ラブラブやん」

「えへへ～。でも康二だってめめとラブラブじゃん！佐久間さん知ってるんだからね！」

害の無さそうな笑顔で俺の触れてほしくない部分を
荒らしていく佐久間くんに少し苛立つ。

頼むから余計なことを言うなと、
分かりやすく睨み付けたのに
佐久間くんの表情は変わらず
笑顔のままだし、口が閉じることもなかった。

「ふっかさんとやろ？何でめめとラブラブやねん(笑)」

「…そうだよ。俺らは普通だから」

何でめめと…か。

当たり前のリアクションなのに
勝手に傷付く自分は酷く滑稽だなと思う。

「康二が記憶無くす前はめめと一番仲良かったんだよ？それこそもうラッブラブ！熱々だったんだから～」

「そうなんや。」

だから何？

まるでそう付け足されそうな言い方に泣きそうになる。

康二はもう俺には何の興味も無いと、
そう実感してしまったから…。

「そもそもめめは俺のことそんなにちゃう？ラウとか阿部ちゃんは好きやろうけど」

出てきた名前にグサッと何かが心臓に突き刺さる。

「どうせ俺の一方通行やろ」

伏し目がちにこぼす言葉に俺は何も言えなかった。

「一方通行なんかじゃない！」

そんな俺をよそに声を張り上げたのは
意外にも阿部ちゃんだった。

「めめは康二のことが大好きだよ！昔も今も！ずっと康二が好きなの！」

何も言えない不甲斐ない俺の代わりに
阿部ちゃんが必死に康二へ伝える。

「…っ…それはそれで重いわ(笑)俺の一方通行の方がえぇなぁ(笑)」

でも、康二には伝わらなかった…。

あー…そっか…。

好きな人に重いって言われるのって
こんな気持ちだったんだね康二…

あー…しんどっ。

こんなに苦しくなるんだ…。

それなのに俺は康二に何度も何度も
こんな酷いことを言って、それでも康二は
何度も何度も諦めずに俺と向き合ってくれてたんだ…。

そんなことに今さら気付いた自分の愚かさを呪う。

「ごめんね…」

「急にどうしたん(笑)」

「…重くてごめん」

そう言うと困った顔で笑う康二と目が合い、
佐久間くんと阿部ちゃんはただ俺達を見つめていた。

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