因果応報 (ページ41)

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緑Side

ドアが閉まった瞬間、
康二とめめの表情が絶望に染まる。

さすがの佐久間もこれには心を痛めるだろうと思ったけど、
めめに住所送っといたよ♪と無邪気に言われて拍子抜けした。

「大丈夫かなぁ…」

「荒療治も必要じゃん？」

そう言ってにこにこ笑う佐久間に苦笑いで返す。

「ライバルの手助けなんかしちゃって、佐久間は本当にそれで良いの？」

「うん。」

「俺は…佐久間にも幸せになってほしいよ」

「…俺には阿部ちゃんがいるでしょ？」

にこっと笑った佐久間に心臓が馬鹿みたいに大きな音を立てた。

俺の気持ちを知っていてそんなこと言うなんて、佐久間は狡い…

「それに、本当はめめの為じゃないの」

「？」

「…阿部ちゃんの為。康二に思い出して欲しいのは本当はめめじゃなくて阿部ちゃんなの。」

「佐久間…」

「もちろんめめの為でもあるし康二の為でもあるけどね」

そう言って控えめに笑う佐久間にどういう顔をすれば良いのか分からなくて目を逸らした。

「いつになったら思い出すんだろうね…」

「うん…」

「…思い出したくないのかなぁ」

「阿部ちゃん！そんなこと冗談でも言わないでよ！」

つい心の声が漏れてしまい佐久間に怒られる。

「ごめん…」

「康二だってきっと思い出したいはずだよ…。だから俺達はしっかりサポートしよ？…ね？」

「うん…」

佐久間に真っ直ぐ見つめられ、
もう馬鹿なことを考えるのはやめようと心に誓う。

誰よりも辛いのは康二だし、
誰よりも困惑しているのも康二なのに
俺が弱音を吐くことなんて許されないもんね。

「「ありがとうございました」」

お店に着き運転手さんにお礼を言って
二人でタクシーから降りて康二とめめを待つ。

「こんなことで康二の記憶が戻るとは思ってないけどさ、美味しいご飯を一緒に楽しく食べるだけでも康二の息抜きになれば良いなって、そう思ったんだよね。」

「息抜き？」

「康二のことだからきっと思い出せない自分を責めてると思うんだよね。だから、ただ何も考えなくて良い時間も必要かなって」

「でもそこに俺とめめがいたら康二また気遣っちゃうんじゃない…？」

ちらりと見るとはっとした表情の佐久間。

…なるほど。

そこまでは考えてなかったんだね。

康二だけじゃなくて俺とめめのことも
気にしてくれてる優しい佐久間らしいや。

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