因果応報 (ページ40)

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橙Side

「めめ…ごめんな…」

「謝ることじゃないって…」

分からないふりして、ごめん…。

「でも、ごめん。ほんまにごめん…」

「じゃあ…ちょっとだけ許して…」

「ん？」

謝り続けていると急にめめが近寄ってきて
手を重ねてきた。

びっくりして手を引こうとしたら
強引に手を繋がれて必死に解こうとする。

「ちょっとだけで良いから…」

「なんっ…」

「おね…が…」

でも、出来なかった。

お願いと言いながら涙を流すめめと
目を合わせてしまったから…

「め、め…」

「ごめっ………えっ」

「…」

胸が、ぎゅっと痛む…。

頭ではいけないと分かっているのに
離れて行きそうなめめの手が寂しくて
握り返してしまった。

「…着くまでな」

「…っ」

本当は自分が繋いでいたいだけのくせに
年上面して答える自分に嫌気がさした。

このまま着かなければ良いのにな、めめ…

そんなこと思っているのはきっと俺だけやけど…。

「…康二？」

「ん～？」

「ううん…」

やっぱり俺はめめのことが好きや…。

好きで好きでたまらなくて、
この感情がただただ苦しくて
溢れる涙をめめに見られないように
ひたすら窓の外を見つめる。

「やっぱ俺、康二が好きだわ…」

そんな時、予想していなかった言葉を掛けられて
繋いだ手に力が入る。

「康二は？俺のこと好き？」

「……大好きやで。」

仲の良いメンバーのふりをして
本当の気持ちを伝える自分が
あまりにも卑怯で悲しくなる…。

今俺は、めめとふっかさんの両方に
嘘をついてしまったんだ…

「目、見て言ってよ…」

「嫌や。」

「前はよく言ってくれてたよ？」

付き合う前は伝わるように、
付き合ってからは真っ直ぐに、
俺は何度もめめに好きだと言ってきた。

でももう…

目を見て言うことは出来ない。

「知らんし…」

知らんねん。

記憶の無い向井康二は何も知らん。

だからもう、惑わせないでよめめ…

「……目ぇ見て好きって言うんはふっかさんだけって決めてんねん」

「…っ」

繋いでいた手がびくりと動く。

「めめも、メンバーやなくてちゃんと好きな人だけに目ぇ見て好きって言ってやり？」

あぁ、あほらし。

ほんまによく動く口や…

次から次へと息をするかのように
嘘に嘘を重ね続ける自分を
心底軽蔑した。

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