因果応報 (ページ39)

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黒Side

バタンッと目の前で閉じたドア。

そのまま俺と康二を置いて発進するタクシーを
追い掛けることが出来るはずもなく、
しょうがなく二人で違うタクシーに乗り込んだ。

佐久間くんからスマホに送られてきた店の住所を
運転手さんに告げ、康二から少し隙間を開けて座る。

「…」

「…久々だよね、一緒にご飯行くの。」

「…そうなん？ごめん、俺覚えとらんから…」

沈黙が怖くて口を開いたことをすぐに後悔した。

佐久間くんと阿部ちゃんがいるとはいえ久々の康二との食事。

浮かれていたのは俺だけだった。

康二の中に俺の記憶なんて無いのに、
何浮かれてんだよ…

くそっ…

「めめ…ごめんな…」

「謝ることじゃないって…」

「でも、ごめん。ほんまにごめん…」

「じゃあ…ちょっとだけ許して…」

「ん？」

申し訳なさそうに謝る康二に擦り寄り、
康二の手に自分の手を重ねる。

ビクッ…！と動いて逃げようとする手を
強引に引っ張って手を繋いだ。

「ちょっとだけで良いから…」

「なんっ…」

「おね…が…」

お願い。

たったの一言なのに最後まで言えなかった。

びっくりした顔の康二と目が合う…

「め、め…」

ぽたっ、ぽたっ…

勝手に目からこぼれ落ちる涙に
自分自身ひどく困惑した…。

「ごめっ………えっ」

「…」

慌てて手を離そうとした時、
康二が俺の手を強く握り返した。

「…着くまでな」

「…っ」

その瞬間、心臓がうるさく音を立てた。

あぁ、いっそのことこのまま…

どうかこのまま…

着かなければ良いのに…

「…康二？」

「ん～？」

「ううん…」

手を繋いだまま窓の外を見つめる
康二の瞳が○んでいるように見えたのは、
外の明かりのせいなのか…

その横顔があまりにも儚くて、
消えてしまいそうで…

この手を離すのが怖かった…。

「やっぱ俺、康二が好きだわ…」

そう言うと繋いだ手がビクッと動く。

「康二は？俺のこと好き？」

「……大好きやで。」

きっと、誰が聞いてもそう答えるであろう康二に
勝手にド○○キしてしまう自分が恥ずかしい。

「目、見て言ってよ…」

「嫌や。」

「前はよく言ってくれてたよ？」

付き合ってたなんて知らない康二に
そんなことを言う自分に呆れた。

「知らんし…」

あぁ、そっか。

そうだよな………

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