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橙Side


思い、出した……。

思い出して、しまった…。


久々の本業が楽しくて周りをちゃんと
見れていなかったのかもしれない。

慌ただしく働くスタッフさんを避けることが出来なかった。

落ちる…!と思った時に聞こえてきた声と
俺を包み込む腕と香りが懐かしくて…

スローモーションになって落ちていく時、
走馬灯のように全てを思い出してしまった。

俺の下敷きになっためめは
気を失ってもなお俺のことを離さなくて、
守ってくれた事実に泣きそうになった。

病院に着いてすぐ俺は
待合室に行くメンバーから
そっと外れてめめの元へと向かった。

まだ意識は戻ってなかったけど
大きな怪我が無くて心底安心した。

すやすやと眠るめめが愛おしくて、
駄目だと分かっているのにめめの手を握ってしまう。


「…蓮……」


もうしばらく呼んでいない呼び方で呼んでみる。

返事は、無い…。


「……ごめんな…………」


大好きやで…。

でも俺にはもうふっかさんがおる…

ずっと傍にいてくれたふっかさんを裏切れない…

傷付けたくないねん…


―チュッ


どうか起きないでくれと念じて
無防備なめめの唇にキスを落とす。

これが最後のキスになるんやな…
なんて考えて自分の頬を叩いた。

もう、これで終わりや…。


手を握っている所をスタッフさんに見られたのは痛かったけど、
俺のキャラ的に不審に思うことは無かったらしくホッとした。


車に乗り込む直前に
ふっかさんに言われた
言葉には思わず目を見開いた。

まさか気付いてるなんて思わなかったから…


「俺は今ふっかさんが好きやねん!ふっかさんが好きやから!だからめめには言わんで!!!」


優しくしてくれる人につく嘘は心が痛む…。

それでも俺は今の関係を壊したくなかった。

メンバーも受け入れてくれたこの関係を今さら壊したくない…

仮にふっかさんと別れたとして
めめとヨリを戻せるかなんて分からないし、
重たい俺を受け入れてくれるはずもない…

だから今はもう、ふっかさんに委ねたかった。

最低だって分かっているけど、
今の俺にはそうすることしか出来ない


「康二大丈夫?」

「え…大丈夫やで?」

「なんか元気ないように見えた」


たった一瞬目が合っただけなのに
すぐに変化に気付いてくれためめの鋭さが
今はすごく怖い…





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真夏野スピカ(プロフ) - なさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - ともぴーさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 真夏野スピカさん» そうなんですね!更新楽しみにしてます。 (2020年12月13日 20時) (レス) id: 67c533f73c (このIDを非表示/違反報告)
ともぴー(プロフ) - そうでしたか!更新楽しみに待ってます。 (2020年12月13日 19時) (レス) id: e72f97e6fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真夏野スピカ | 作成日時:2020年11月10日 22時

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