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桃Side


せっかくの康二の仕事復帰の日だったのに、
信じられないくらい楽屋の空気は重かった。

きっとそんな空気を感じて
康二は自分から話題を切り出したんだと思う。

でも気を遣って康二が話題に出したのは
今一番触れてはいけない阿部ちゃんとめめのことだった。

康二を傷付けた二人の関係を嬉しそうに聞き出そうとしていて

もう、見てられなかった…

流れで阿部ちゃんの好きな人の話になった時は
口から心臓が出るかと思った。

びっくりして聞こえなかったふりをしようと
思った時に聞こえてきたのは阿部ちゃんの返事。

阿部ちゃんのことが嫌いな人、
それが阿部ちゃんから見た俺の印象らしい。

そんな俺に康二はセンスが無いと言う。

そしてそんなセンスの無い俺に
康二は話を振ってきた。

記憶の無い康二の言葉は鋭い刃のようで、
残酷だなと思った。

康二が叫ぶと阿部ちゃんも叫ぶ。

本当はとても優しい阿部ちゃんと、
純真無垢な康二のやり取りが地獄のように苦しかった。

その後の康二とめめのやり取りも同じ。

自分の話を真剣に聞いて解決するようにと
めめの応援をする何も覚えていない康二が
今は少し怖かった。


「阿部ちゃん、今日時間ある…?」

「さ、くま…」


仕事を終え、阿部ちゃんに声を掛けるとびくりと肩が揺れた。


「ご飯行こう?話したいことがある」

「うん……」


俺は康二が好きだ。

あの笑顔も声も優しさも、
めめへの独占欲すらも
全部貰ってしまいたいくらい好き。

でも、康二は違う。

記憶のある康二はめめを、
記憶の無い康二はふっかを選んだ。

その中に俺はいない。


「佐久間…」

「じゃあ行こっか。」


俺は康二に全てを思い出させたい。

思い出したうえで
康二が誰を選ぶのかを知りたい。

浮気しためめか、

康二がめめと付き合っていることを言わなかったふっかか、

ただただ想いを拗らせ続けている俺か…。


「康二に思い出して欲しい、阿部ちゃんとめめのこと。だから阿部ちゃん、協力してよ」


いつも康二のことで悩んだら
俺は阿部ちゃんに相談していた。

これは多分阿部ちゃんの為でもある。

康二に思い出してもらって、
心からの謝罪をさせてあげたい。

いつも俺を救ってくれた
優しい阿部ちゃんの罪悪感を拭ってあげたい。


だから、


「お願い、阿部ちゃん…」





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真夏野スピカ(プロフ) - なさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - ともぴーさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 真夏野スピカさん» そうなんですね!更新楽しみにしてます。 (2020年12月13日 20時) (レス) id: 67c533f73c (このIDを非表示/違反報告)
ともぴー(プロフ) - そうでしたか!更新楽しみに待ってます。 (2020年12月13日 19時) (レス) id: e72f97e6fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真夏野スピカ | 作成日時:2020年11月10日 22時

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