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紫Side


未だ泣き続けるめめの肩を抱き、
楽屋まで連れて行く。

ドアに手を掛けた時、
中から楽しそうに話す皆の声が聞こえて。

入ると、皆が談笑していた。

その輪の中には阿部ちゃんもいて、
以前の楽屋を思い出した。


「あ、おかえりふっかさん。え、めめ…?」


康二の声に皆が振り向き、
視線は全員めめへと向かった。


「謝るって言ってたのに何でめめ泣いてるん!」

「ちゃんと謝ったって…。ただ…。色々話すことがあったんだよ…」


そう言うと、少しじとっと俺を見てからめめの方にすぐ駆け寄る康二。


「めめ…?」

「…っく……ひっく」

「んー、よしよし」

「康、二…」

「こっちおいで?」


泣いているめめの背中を撫でると
一緒にソファーに腰を下ろして。

あろうことか康二はめめを抱き締めた…。


「康二…っ」

「そんな泣いたら辛いやろぉ…よしよし」


自分より背が小さい康二にすっぽり納まるめめに、
胸がざわざわした。


「苦しい…っ」

「ん?」

「……ぎゅってしてて、康二」

「えぇよ、ふふ。赤ちゃんやん、かわいっ」


小さくなって康二に甘えるめめに可愛いと言った康二の目がとても優しくて。

愛おしそうに見つめるその瞳から思わず目をさらした…。


「……ねぇ康二」

「んー?」

「好きだよ……」

「ん?」

「そういう優しいとこ、俺、好きだよ…」

「お、ありがとう!俺も好きやでめめのこと」

「……そっか。」


康二の、真っ直ぐで純粋な好きという言葉に
めめは悲しそうに笑う。

その無理した笑顔に気付かない康二は
心からの笑顔をめめに向けた。


「さっきな、めめの好きな人の話してたんよ」

「…は?」

「あんな、俺ほんまは阿部ちゃんとめめが付き合ってるって思ってたんよ。やけど二人とも好きな人がいるから違うって阿部ちゃんに言われてん(笑)」


恥ずかしいやろ?と笑う康二とは裏腹に、
ここにいる全員は一切笑えなかった…。


「聞いたで〜めぐきゅん!めちゃくちゃモテるんやろ?めぐきゅんの好きな人」

「は…」

「阿部ちゃんが言ってたで?優しくてかっこよくて可愛くて温かい人だって!」

「…っ」

「でもな、俺めめやったら絶対上手く行くと思うねん!応援すんで!」


その無邪気さは時に残酷だなと、
心から思った…





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真夏野スピカ(プロフ) - なさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - ともぴーさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 真夏野スピカさん» そうなんですね!更新楽しみにしてます。 (2020年12月13日 20時) (レス) id: 67c533f73c (このIDを非表示/違反報告)
ともぴー(プロフ) - そうでしたか!更新楽しみに待ってます。 (2020年12月13日 19時) (レス) id: e72f97e6fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真夏野スピカ | 作成日時:2020年11月10日 22時

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