因果応報 (ページ25)

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橙Side

「そんなん、いくらでも謝ったらえぇやん！今はまだ記憶が戻ってないから分からんけど、記憶が戻ったらちゃんと話せばえぇやん！何で最初から自分が悪いって諦めるん！そっちの方が最低や！」

「だって…」

「ちゃんと反省してくれたんやろ？ちゃんと苦しんだんやろ？ちゃんと悪いと思ってくれたんやろ？だったら…っ！だったら俺は阿部ちゃんを憎めへんよ！」

記憶があればもっと早く解決していたかもしれないのに…

そう思うと悔しくて涙が止まらなかった。

俺が記憶を無くしたばっかりに
阿部ちゃんをこんなにも苦しめている…

そんな事実が悔しかった…。

「ごめんなさい康二…っ！」

「阿部ちゃん…っ」

泣きながら抱き締められたその温もりは、
優しい阿部ちゃんらしい温かい匂いがして。

とても心地よかった。

「もう自分のこと責めんでよ…。俺が好きやったメンバーやもん。」

「そうだな。阿部ごめん。俺らも冷たくし過ぎた…」

「ううん。全部俺のせいだから…」

「また前みたいに仲良くしよう。あとは康二の記憶が戻ってから全員で話し合えばいい。」

「でも…っ」

照くんの提案に、阿部ちゃんは何度も首を横に振る。

「…康二がそうしたいんだよきっと。それが康二の為なんじゃない？」

「佐久間…」

「だから、仲良くしようよ…」

「…っ」

「それと…。阿部ちゃんの好きな人は多分阿部ちゃんのこと、嫌いじゃないと思う」

「…ぅっ」

「ほら、涙拭いて？」

泣いている阿部ちゃんに渡された佐久間くんのハンカチ。

そのハンカチに顔を埋めて嗚咽が漏れるほど
阿部ちゃんはひたすら泣いていた。

「…泣きすぎだろ(笑)」

「翔太空気読んで」

「阿部くんごめんね…」

「阿部大丈夫か」

いつの間にかさっきまでの空気は消え去り、
俺が見たかった温かい空気になった。

「…っ…やっぱり…康二には勝てないや」

「ん？」

「ううん。康二がモテる理由が分かったってだけ」

「何やそれ」

涙を拭ったハンカチから顔を上げてはにかむ阿部ちゃんは、
よく分からないことを言ってきた。

どういうことなんやろう…？

「康二は本当に…優しくてかっこよくて可愛くて。すごく…温かいね……」

「ん？」

何かそれ、さっき聞いたような…

まぁ、気のせいか。

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