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紫Side
何も言わず、真剣な表情でただひたすらに
俺の言葉をしっかりと咀嚼しているめめと、
床ばかり見て話を続ける俺。
傍から見たらどんな風に見えているんだろうな、俺たちは…
「…だからさ、嬉しかったんだよ」
「…」
「めめと付き合うことになりましたって報告された時。」
「な、んで…」
「あいつが幸せそうだったから。あぁ、こいつもやっと幸せになれるんだなって」
「そんなの…」
「めめの隣で幸せそうにしてるあいつ見ちゃったら、そう思うしかなかったんだよ。」
「…」
「…めめには感謝もしてた。あいつの安心できる場所になってくれて」
「…っ」
「…だからこそ、許せなかった」
康二に対しての想いにも、
二人への気持ちにも嘘はない。
俺は本当に二人を応援していたし、
これからもずっと応援するつもりだったから。
…あんなことさえなければ
「付き合うことになってからどんどん素っ気なくなっていったお前が許せなかった」
「…っ」
「あいつに好かれてるって自信があって、それにあぐらをかけるお前が許せなかった」
「…」
「何よりも許せなかったのは…」
何もかも許せない。
でも、俺が本当に心から許せなかったのは…
「…お前が手を出したのが、あいつが何よりも大切にしているグループのメンバーだったってことだよ……っ!」
「……っあ」
―ガンッ!
と、気が付けば自分でも驚くほどに声を荒げ、
壁を殴っていた。
そんな俺に身体を大きく揺らしてビビるめめと、
喫煙所に入ってきてからしばらく経つのにもかかわらず初めて目が合った。
「一夜の過ちだったってのは分かってる。酒が入ってたってことも。お前が本当に好きなのは今でもずっと康二だってこともちゃんと分かってる」
「…はい」
「だから言う。康二のことが本当に好きなら…本当に大切なら。もう、諦めてくれ。」
「は……」
「今の康二が好きなのは俺なんだよ。お前の記憶が無い今の康二が好きなのは、俺なの。」
真っ直ぐめめを見つめながら言うと、
めめの瞳がぐらりと揺れた…。
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真夏野スピカ(プロフ) - なさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - ともぴーさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
な(プロフ) - 真夏野スピカさん» そうなんですね!更新楽しみにしてます。 (2020年12月13日 20時) (レス) id: 67c533f73c (このIDを非表示/違反報告)
ともぴー(プロフ) - そうでしたか!更新楽しみに待ってます。 (2020年12月13日 19時) (レス) id: e72f97e6fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真夏野スピカ | 作成日時:2020年11月10日 22時