因果応報 (ページ34)

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黒Side

『…蓮……』

俺を呼ぶ声が聞こえる…。

『……ごめんな…………』

その時、

唇に何かが触れた気がした…。

「…っ」

「あ、目黒くん！」

「あぁ…」

「良かった…。目が覚めたんですね」

目を開くとそこにいたのは
スタッフさんだけだった。

「本当にすいませんでした。僕の不注意で…」

「いや、大丈夫っす…。あの…康二は？康二は大丈夫ですか？」

謝罪をしてくれているところ悪いけど、
康二が無事なのか、今の俺にはそれしか興味がない。

「向井くんですか？目黒くんが庇ったお陰で無事でした」

「そっか、良かった…」

背中やら腰やらはまだ痛むけど、
康二が無事だったなら俺はもうどうでも良い。

「僕が来る前に一人でいたんですけどね。きっと心配だったんでしょうけど、僕が来たら出て行っちゃいました」

「え…」

「ずっと目黒くんの手を握ってましたよ。本当に心配だったんでしょうね。」

その言葉に思わず自分の手を触る。

でも、当たり前だけど康二の温もりはもう無い。

「じゃあ僕皆さん呼んできますね」

「あ、はい…」

慌ただしく病室から出て行ったスタッフさんを見送ってまた目を閉じる。

すごく良い夢を見ていたはずなんだけど何だっけ…。

全然思い出せないや…

―ガチャッ

「めめっ…！」

「うおっ…」

飛び込んで来たのはラウールで、
康二は何故かよそよそしく俺を見つめるだけだった。

「めめごめんな…。俺のせいで」

「ううん。康二が無事で良かった」

「…っ」

「守れて、良かった…」

もう、間違えたくなかったから…。

「怪我は無い？どっか痛いとこは？」

そう聞くと、佐久間くんに
お前のセリフじゃねぇだろと言われて
病室に笑い声が広がった。

「大丈夫やで。めめが守ってくれたから」

俺の目を見て微笑む康二に、
やっぱり俺はこの人のことが好きだなと実感する…

「そっか。なら良かった…」

触れようと伸ばした手は康二には届かず
何事も無かったかのように下ろす。

「リハ出来そう？」

「うん。痛み止め打ってもらえば何とか大丈夫そう」

「あんま無理したらあかんで？」

「なに、心配してくれてんの？(笑)」

「当たり前やろ。めめのことが大事なんやから」

真剣な表情でそんなことを言う康二に
泣きそうになった。

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