因果応報 (ページ22)

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黒Side

「付き合うことになってからどんどん素っ気なくなっていったお前が許せなかった」

「あいつに好かれてるって自信があって、それにあぐらをかけるお前が許せなかった」

「何よりも許せなかったのは…」

「…お前が手を出したのが、あいつが何よりも大切にしているグループのメンバーだったってことだよ……っ！」

「一夜の過ちだったってのは分かってる。酒が入ってたってことも。お前が本当に好きなのは今でもずっと康二だってこともちゃんと分かってる」

「だから言う。康二のことが本当に好きなら…本当に大切なら。もう、諦めてくれ。」

「今の康二が好きなのは俺なんだよ。お前の記憶が無い今の康二が好きなのは、俺なの。」

「俺、嫌なんだよ…。何も悪くないあいつが傷付くの…」

「あんな記憶いらないんだよ。そしたら皆が幸せじゃん。めめと阿部ちゃんも気まずくなくなるし、俺らも忘れれば良い…。だから…。康二と付き合ってたってことを無かったことにしてくれ…」

「…幸せにする。俺は絶対あいつを泣かせない。だからもう諦めてほしい。……康二の為に」

次から次へと出てくる言葉に涙が止まらなかった

あぁどうして

どうして時間は戻ってくれないんだろう

「…ふっかさんと付き合ったら…っ…幸せになれるって…分かってる…分かってるけど…っ」

「…うん。」

「諦めるなんて無理です…っ！無理なんです…っ」

自分のしたことを棚に上げて
何を言っているんだろう…と思うけどこの気持ちは譲れなかった

「好き…なんです…っ。俺っ…本当に康二が好きなんですっ…」

「でも、裏切っただろ？」

「…っ」

「都合良すぎるよお前…。」

必死な俺に掛けられたのは呆れた声だった

その冷たい声に息を飲んだ

「…今は俺の恋人だよ、康二は。それは譲らない」

「…っ」

「でも、記憶が戻った康二の隣にいるのは誰かは分かんない。」

「…」

「裏切ったお前も、騙した俺も選ばれないかもしれない。」

「…っ」

「一瞬でも良いんだよ。今は俺に康二の隣にいる権利をくれ…」

「ふっかさん…」

「もう充分一緒にいたじゃんお前…。倦怠期だったじゃん…。それがずっと…ずっと羨ましかったんだよ……」

ふっかさんの瞳が悲しげに揺れる

そんなふっかさんの瞳の中にいる俺は今
一体どんな醜い表情をしているんだろう…

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