14人姉弟の長女② (ページ2)

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オオカミくんには気をつけろページ2

歌番組に出演する日。

いつもの通り先にメイクチェックをしてもらった私は、1人テレビ局の廊下を歩いていた。

いつものルーティーンで、どこか人気のないところを探しているけれど、スタッフやら出演者でごった返している。

「あ、Aさん！」

目の前で爽やかな笑顔で話しかけてきたのは私たちより数年先にデビューしている男性アイドルグループのメンバー。

「お久しぶりです」

前に一度、バラエティ番組で一緒になったのだけれど、その時にメンバー間で恋愛に発展することはないのかだとか、宿舎ではどうやって生活しているのだとか…

やたらとナイーブな内容の質問をしてきて、あまり良い印象を持たなかった記憶がある。

「そうだ！俺たち今度日本でペンミすることになって。Aちゃん、日本語話せるよね？」

「はい」

「俺ぜんぜんでさ～日本語教えてくれない？」

思わず、事務所で先生や通訳さん雇ってくれるだろと心の中でツッコミを入れる。

なんか、嫌な予感…

「連絡先教えてよ！」

うわぁ、来た…

別に同僚、先輩と連絡先を交換するのは良いんだけど、この方は下心がある気がする。

「スマホ楽屋においてきちゃって」

「まじで？あれ、そのポケットに入ってるやつ違うの？」

ポケットから少し出ているイヤホン。ズボラな性格の自分を恨む

「あー、事務所からそういうのダメだって言われてるんです。すみません」

「そんなの、黙っておけば良いじゃん！！意外と真面目だね(笑)」

若干イラっとしつつ、相手は一応先輩だし、連絡先くらいなら仕方がないか…と思いスマホを手に取る。

「やっと見つけた！Aヌナ探したよ」

スマホを取ろうとした手をぎゅっ握ってきたのは、
可愛い弟のジュン。

JN「メイク直しヌナの番だって。ほら行こう？あ、先輩！こんにちは！！」

ジュニがキラッキラの笑顔で挨拶するものだから、先輩は「あ、あぁ…こんにちは」なんておどおどしている。

JN「じゃ、僕たち急ぐので。失礼します！」

ジュニは私の手を握ったまま、ずんずん歩いていく。

滅多にこんな事はないから表情を伺うと、眉間に皺を寄せている。あ、怒ってる。

「ありがとう、助かったよ」

JN「まったく…僕がいなかったら連絡先交換してたでしょ？ダメ、ああいう人。絶対ダメだから。」

いつもは可愛い弟だけど、今日はとってもかっこよかった。