最後のご飯 ページ10
道「これはここでええ?」
「うん、いい感じ」
道「じゃあこれ持ってくな〜」
あの二人だけの結婚式から何日か経った
どんどん結婚式の準備も整ってきて、結婚するんだなって実感が現実味を帯びてきた
そんな今日は珍しく駿も一緒にご飯を作りたいと言ってきたので、メニューを一緒に考えて
並んでキッチンに立つ
道「やっぱ俺料理の才能あるは」
「そう思うならいつも手伝ってよね?」
道「それはちゃうねん。俺はAの作ったご飯が好きで、俺が手伝うと俺の味になっちゃって..」
「ドレッシング持って行って」
道「え?スルー?」
「駿、ハウス」
道「ワン」←
良い子にドレッシングを咥えて←
料理が並べてあるテーブルに座る駿。どうしよ、犬の耳が垂れてるようにしか見えない
「はい、食べよ!」
道「いっただっきまーす!...んー!うま!」
「もー口についてるよ」
道「とってー♪」
ご機嫌そうに口にご飯をほおばる様子は本当に癒される
いつも美味しいと言って食べてくれるけど、今日は自分も手伝ったからかとっても美味しそう
道「?まだついてる?」
「ううん。美味しそうに食べるなーって思って」
道「だって美味いんやもん」
「今日はある意味最後のご飯だもんね」
道「だから尚更。これからも食べれるけど、今日はまた特別
Aレシピの中の、俺の好きなメニュートップ3やし」
「あたしがノート書いてたの知ってたの?」
道「俺に分からんことはない」
駿と付き合いだしてから、あまり得意じゃなかった料理を練習して、駿にたくさん食べてもらってたんだけど
その中でもしが美味しいって言ってくれたレシピはノートに書いて残しておいた
そのこと知ってたなんて
道「いつでもAのご飯は俺にとって特別。最初の失敗した卵焼きも」
「あの卵焼きは忘れて...」
道「いや、あれは忘れられへんな。真っ黒やったし、味しないし」
「ねー!」
道「それも大事な思い出ってことやん。これからもどんどん増えてくんやから、一個一個大事にせな」
「思い出だらけになっちゃうね」
道「それがええねん。次のご飯はまた特別なんやし」
「はいはい」
こうしてテーブルを囲んで一緒にご飯を食べることも、美味しいって言ってくれる駿も、これからも変わらないんだろうけど
その一つ一つが幸せなんだって、あたしもちゃんと思ってるからね?
恋人同士でのご飯は今日が最後
次からは、夫婦でご飯だね?駿
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作者名：春風 | 作成日時：2019年6月25日 3時
