【呪術廻戦】くゆり舞う【男主】 (ページ10)

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夜桜家ページ10

side伏黒

五条先生が渡した諭吉を握り潰して歩いていく後ろ姿でさえも、切り取ったかのように同じだった。

"強くなれるよ。そんでもっていつか、、、"

桜吹雪を閉じ込めたような瞳が、俺に縋るように。

「…………そういう術式ですか、あの人」
「というと？」
「アンタが見せた夜桜Aの写真は今のあの人そのままだ。歳をとってないんでしょう。そしてそれを本人も気づいてない」

天元様でさえも不老ではなく、不死の先にある進化を拒むためにも500年に1度肉体の情報を書き換えなければならない。

もしも夜桜Aが不老の術式を持っていたとしたら、その代償に記憶を失うということは有り得るのではないか？

五条先生が夜桜Aを捜している事は知っていた。だからこそ。あの時の邂逅は衝撃的だった。

「……確かにあの子は僕が知ってるAだ。Aは何も覚えてないけど、僕は確かに覚えてる」

元々、夜桜家は五条家の分家の1つだったと聞いたことがある。……そう、あくまで過去形。

なぜ夜桜家が分家から外されたのかは分からない。
そのことに関する書物や文献は全て消されてしまっているからだ。

その中でも御三家で囁かれているウワサ。

「"夜桜の術師は五条家を滅する"……アンタがその噂を知らないわけない。その言葉の意味も知ってるんじゃないですか？」
「恵はAに僕が殺られるって思ってるの？」
「アンタのあの異様な執着心を見れば勘繰るでしょう。ただの友人じゃないことは分かります」

だからアンタには教えねぇよ。

アンタが俺に会いに来るより前、

あの人が俺に言った言葉を。