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真希(苗字呼びは嫌いらしい)から一本取る。
それが現段階の目標だ。
……まぁ、現時点ではまだまだ程遠い。
相手が天与呪縛という点を考慮しても
俺は近接戦闘に弱すぎる。
地面に叩き落とされた俺に変わり、真希に挑む伏黒を横目に水を飲む。
釘崎はパンダや狗巻と吹き飛ばされる特訓中だ。
「お、やってんね〜。調子はどう?」
『まぁまぁ』
「Aは小柄で非力だからね、どうしても術式に頼りがちだけどフィジカルは大事よ。いざと言う時のゴリ押しになる」
『ゴリ押しできるくらいの体術なんて無理だな』
高専でフラフラしていい人材じゃないと言われながらも結構な頻度で姿を見るものだから、暇なのかと錯覚してしまいそうになる。
まぁでも任務で2、3日空けるなんてザラにあるから忙しいには忙しいらしい。
呪具、紅赫も得物のように振り回してガチガチの近接をする武器じゃない。これは夜桜家の呪具なのだから、近接戦闘用に作られていないのだ。
毒となる酩酊効果に俺自身は耐性がある。
だが、"空蝉"という技は酩酊効果の毒を受ける代わりに身体能力の底上げを図る。
近接戦闘に持ち込まれると必然的に時間制限が出来てしまう。宿儺の時のように。
つまり酩酊術式の術者は近接戦闘を前提にしていない。
……と思う。多分。
「…………そっかぁ」
当てが外れたような、失望したような声色だった。
目隠しで見えない目が俺を射抜いているのが分かる。
その目に乗せられているであろう色に、
無性に腹が立った。
『僕が知ってるAだったらそんなこと言わないのにな〜って?……お前、会った時から俺の事なんて見てないだろ。安心しろ。俺もお前の事なんて見てないから』
お前が俺の亡霊しか見てないとしても。
お互い様だね、って笑ってあげる。
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ねかあ(プロフ) - 好きっ。徐々に思い出していく系。がんばってください。 (12月26日 16時) (レス) @page15 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シナモ | 作成日時:2023年12月21日 10時