第十四話 恋の音�� ページ42
「うひひっ、俺はなんか嬉しいよ、たんじろぉ。」
「…は？」
「だって、すっげー簡単じゃん、それ。」
にひひと笑う俺に首をかしげる炭治郎。
こいつ、本当にわかってないのか？
天然というか鈍感というか。
普通の若者なら自分で気づくだろう。
「炭治郎、Aちゃんの事好きなんだろ？」
「……好きだぞ？」
「あのなぁ！友情とかそういうんじゃなくて、ちゅーしたいとか、触りたいとか、そういう好き！」
俺の言葉を理解するのに少し時間がかかったようだった。
唖然としていたかと思ったら、顔から火でもだすのかというくらい真っ赤になった。
「っ、はっ！？え！？ちゅっ…さわっ、なっ！！」
今日は炭治郎の珍しい姿をよく見るなと思いながら、落ち着けよと声をかける。
「鼓動が高鳴ったり、傍にいたいと思ったり、周りの男に嫉妬したり、よくそれだけ揃ってて気づかないよなぁ。」
「い、いや、だって…っ。」
そんなわけは、とか、俺はそんな、とか言っているけど、俺たちの間に嘘はないことはよくわかっているだろ。
はあ、とわかりやすくため息をついて炭治郎の意識を俺に向ける。
「正直に言えよ？思った事あるだろ、Aちゃんに。接吻したいって。」
というよりも、さっきの話を聞いている限り思っていないわけがない。
哀しいかな男はそういう生き物だ。
炭治郎は何か心当たりでもあるかのように、これ以上赤くなるのかというくらいさらに赤面させる。
「ほらな。」
「っ、あの夜…お、俺の腕の中で眠りにつくAが、その…。」
俺の腕の中でって、なんか卑猥だなぁなんてくだらない事を思っていた俺は、次に続いた炭治郎の言葉に声を上げられずにはいられなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さりー | 作成日時：2020年7月10日 21時
