昔も今も、これからも第一幕 (ページ41)

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第十四話　恋の音② ページ41

話を戻そう。

俺がAちゃんの名前を出すと、炭治郎がピクッと反応した。

おいおい、まさか。
え、嘘だろう？

ほんのりと顔を赤くする目の前の男から、俺がよく知る音が聞こえてくる。

「そっ、相談というのは…、その…、Aの事なんだ。」

「……なに？」

思ったよりも冷たい声が出てしまった。
そんな俺に気付かずに、炭治郎はまた口を開く。

「俺は、彼女の力になりたい。出会った時からそう思っていたんだが…。最近、彼女といるとよくわからない感情が出ることがあるんだ…。」

炭治郎はゆっくりと、Aちゃんとの初任務の話を始めた。

ちょっと待ってくれ。俺は今一体何を聞かされているんだ。

「ちょ、え？傍にって…え？それほんとの話？炭治郎の妄想じゃなくて？」

「本当の話だが？」

傍にいて、って。
傍にいてくれ、って。
抱きしめ合う、って。

先程からの我慢空しく顔が緩んでいく。

「それでな、それから彼女に会うと心臓の鼓動が大きくなったり、他の人と任務に行った話を聞いたりすると胸が苦しくなったり、その…いつでもAの顔が浮かんできてしまうんだ。女性と多く関わってきた善逸なら、なにかわかるかと思ってだな…って、なんて顔をしているんだ。」

さっきまでの赤面は一変、かなり引いた顔を向けてくる炭治郎。

いや、緩んじゃうでしょう。
だらしない顔になっちゃうでしょうこれは。

今まで打倒鬼の事しか頭にないんじゃないかと思っていた友人が、こんなにわかりやすい態度や音をさせていたら。

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