第二話 飛ばされた世界�� ページ5
ゆっくりと目を開けると、前にはポカンとした顔のピカチュウ。そして例のあれはいなくなっていて、代わりに男の人が一人。
緑と黒の市松模様の羽織を着て、刀を持っている、明らかに人。
一体何がおきたのか。
じっと目の前の人を見つめていると、彼と目が合う。
「お怪我はありませんか！？」
バッと距離を詰められ肩に手を置かれる。
あまりの勢いに驚きつつ、首を縦に振ると、彼の表情が安心したように変わる。
「良かった…。」
先ほど聞こえた声は彼と同じもので、彼が助けてくれたのかとなんとなく思った。話を聞いてみようかと口を開いたとき、ガサッと音がした。
「炭治郎ー！」
ビクッと体が反応したのは、先ほどと状況がにているからだろう。
だが、声と共に現れたのは３人の人だった。嫌な感じは、しない。
「炭治郎1人で行っちゃうから心配したよ！俺から離れないでくれよぉぉ！！」
「本当はお前より早く行けたけどな！譲ってやっただけだぜ！」
黄色い髪の人とマンムーのような顔をした人が何やら騒ぎ始め、市松模様の人がすまない、と近づいていく。
竹をくわえた可愛い女の人の頭をなでているのを見ると、彼らは知り合いなのだろうか。
私はピカチュウを抱き上げ、不安を隠すようにぎゅっと力をこめる。
それに反応したのは市松模様さんと黄色さんだった。
「ああ、すみません。あんな事があって不安でしたよね？俺は―」
「たたたたた炭治郎ぉぉぉ！！どうしたのこの可愛い子は！？よくわかんないけどごめんね、怖かったよね！？結婚しよう！！」
黄色さんにすごい勢いで手を握られる。なぜ私は知らない人に求婚されているのだろうか。状況が理解できない。…いろんな意味で。
「オイ、まだいるぞ。」
マンムーさんの一言に空気がピリッとする。また、嫌な感じが近づいてくる気がする。私の気持ちを断ち切るかのように市松模様さんが刀を構えた。
「禰豆子、善逸、その子を頼む。」
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作者名：さりー | 作成日時：2020年7月10日 21時
