第九話 勝負�� ページ28
まあ今後の為に、私を守りながら戦うということを覚えてほしいとは思っていたので、もしかしなくても、これはいい機会かもしれない。
ピカチュウでもいいが、対人とのちゃんとした初バトルは伊之助さんの事も考えると、人型に近い彼が好ましいかもしれない。
こっちにきてからピカチュウ以外ボールから出していないし。
そう考え、伊之助さんに声をかける。
「いいですよ、勝負しましょ！」
そういうと炭治郎さんと善逸さんが驚いてこちらを見る。
「伊之助に無理に付き合う必要はないんだぞ。」
「そうだよAちゃん！あんな奴ほっといていいんだよ！！」
心配してくれているのであろう彼らに少し笑い、ポシェットに手を伸ばす。
ひとつのボールを取り出し、いつものように慈愛をこめて口づけする。
そして、宙に放った。
「お願い、ルカリオ！」
私の言葉と共にボールから出てきたルカリオは、すぐに私の近くに寄ってくる。
そんな彼の頭をなでると、久しぶりのそれにとても嬉しそうにする。
「ピカチュウじゃなくて、このルカリオと私がお相手します。」
伊之助さんは現れたルカリオに興味津々なようで、こいつも強そうだな！と喜んでいるようだった。
が、彼らは違ったようで。
ガシッと、左肩を善逸さんに、右肩を炭治郎さんにつかまれる。
「Aちゃんも戦うの！？だめだよ！？」
「何を言ってるんだ！怪我でもしたらどうするんだ！？」
彼らの勢いに、前にいるルカリオがポカンとする。
ちなみに炭治郎さんの腕の中にいるピカチュウは何故か楽しそうに笑っている。
「えと…、ポケモンバトルはポケモンとトレーナーが一緒に戦うものですし…。」
「いや、そうじゃなくて、戦う必要がないだろう！」
炭治郎さんの掴む手に力が増す。
「でも…これから鬼殺隊のお手伝いをすることになったので、バトルの仕方も変わるから特訓したいですし…。」
納得してもらおうといった言葉が、さらに彼らの声を上げさせることになってしまった。
「お手伝いってなに！？」
「手伝いってどういうことだ！？」
はじめて伊之助さんのため息を聞いた気がした。
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作者名：さりー | 作成日時：2020年7月10日 21時
