第八話 鬼殺隊�� ページ23
実弥さんはハァとひとつため息をつくと、刀をしまった。
その行動に周りの人たちが驚いている。
そんな中、実弥さんはゆっくり私に近づいてきた。
そして、私の腕の中でシュンと落ち込んでいるピカチュウをグリグリとなでまわす。
「悪かったな。」
その言葉に、私もピカチュウも驚いて彼を見る。
周りからひそひそと、不死川が謝った！？あいつどうしたんだ！？と話す声がかすかに聞こえる。
「てめえは自分の主人を守りたかっただけだろ。刀向けて悪かったな。俺にも守りたいもんがあんだ。てめえの気持ちはわかる。」
この人、実はすごく優しい人なのではないだろうか。
ピカチュウはなんだか嬉しそうに彼の手に身を任せている。
実弥さんとピカチュウを交互にみていると、実弥さんの手がピカチュウから私の頭へ移動した。
乱暴だけど、そこか優しさのある撫で方。
その手を感じながら、エレキフィールドの効果が切れるのを見た。
「実際見ちゃ信じねえわけにはいかねえ。お前も、悪かった。」
信じてくれた、ということだろうか。
じっと実弥さんを見ると、なんだよ、と少しバツが悪そうに目をそらし、手が離れていく。
いつのまにか近くに来ていたしのぶさんがクスクスと笑った。
「それにしても、まさかAさんの近くにいると思いませんでしたよ。この子がアルセウスですか？」
「……？いや、この子はピカチュウです。」
私の頭にハテナが浮かぶ。が、みんなの頭にもハテナが浮かぶ。
「でも、見たことないし…この子がポケモン、アルセウスでは…？」
「いや、ポケモンですけど、この子はピカチュウです。」
話が平行線。
もしかして、私の説明不足だっただろうか。
言い訳ではないけれど、ポケモンはいることが当たり前の世界にいた私には、ポケモンの説明をすることはかなり難しいのだ。
きっと、ポケモン＝アルセウスのこと、と思われていそうだ。
ずっと楽しそうに様子をうかがっていたお館様が、静かに口を開いた。
「A、詳しく話してくれるかい？そのポケモンについて。」
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作者名：さりー | 作成日時：2020年7月10日 21時
