昔も今も、これからも第一幕 (ページ12)

今日:9 hit、昨日:41 hit、合計:38,215 hit

第四話　涙③ ページ12

私は、ここにいてもいいんだ。傍にいても、いいんだ。

ありがとう、と伝えたいけれど言葉にならない。

でも彼は、そんな気持ちをわかっているかのように笑った。

「こっちこそ、ありがとう。」

その笑顔をみると、心が温かくなって。

きっと涙でぐしゃぐしゃな顔だろうけれど、私も笑顔をむけれた。

「…なぁ、そろそろしゃべっていいかな？」

善逸さんのそんな声が聞こえて、炭治郎さんから離れる。

そこには、ワナワナと震える善逸さん。

下を向いて表情が見えないため、炭治郎さんが心配したように声をかける。

「ぜ、善逸？」

「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛っっっ！！！もうたえられねぇ！！たーんじろぉぉ！？何ちゃっかりAちゃん抱きしめちゃってんのぉぉ！？俺だってぎゅーってしたいわ！ぎゅーってAちゃんのなにもかも抱きしめたいわ！！Aちゃんの気持ちは俺だってわかってたからぁ、少しの間我慢してやってたけど！！Aちゃんは俺と結婚すんの！気安く触れていい存在じゃないのぉぉ！！！」

目が飛び出てしまうんじゃないかというくらい青筋立てて怒り始める善逸さん。今までニコニコと優しい人だったのに突然の事過ぎてついていけない。

でも結婚するとは言ってない。

未だに叫んでいる善逸さんに若干引いていると、炭治郎さんが大きなため息をついた。

.