唯一無二の宝物 3 ページ8
しばらく経ち、ナース長に呼ばれた。
着いて行くと、医務室のカーテンで仕切られたベッドにお嬢は横になっていた。
気を利かせてくれたのか、ザックとナース長は微笑ましげに、おれ達を2人きりにしてくれた。
｢大丈夫か？｣
｢ええ、平気よ。｣
起きようとするお嬢を支え、起こしてやる。
立ち上がろうと思ったが、お嬢に胸元を握られていて、それは叶わなかった。
｢あの、ね、イゾウ。…妊娠2ヶ月だって。｣
｢そう…か。｣
｢……イゾウ？｣
思わず上を向いたおれを不安に思ったのか、泣きそうな声でおれの名を呼んだ。
お腹に負担のないように、そっと抱き締めると、お嬢は胸元に顔を埋めた。
｢すごく嬉しいよ。ありがとう、お嬢。｣
｢う、ん…っ！｣
胸元に顔を埋めたまま、お嬢は泣いていた。
きっと、不安だったのだろう。
｢すまない、不安にさせていたんだな。…本当に嬉しいよ。おれとお嬢の、愛の結晶だ。最高のお宝じゃないか。嬉しくない訳ないだろう。ありがとうな、本当に。これからはお嬢とこの子を、守っていくよ。｣
お腹にそっと手を当てると、お嬢の手が重なり、涙を浮かべる目で真っ直ぐ見つめられた。
｢産んでも、いい、の？い、嫌じゃ、ない？｣
｢嫌な訳があるか。…産んでくれるか？｣
｢はい…っ！｣
泣きじゃくるお嬢を抱き締めていれば、遠くからオヤジの笑い声がした。
｢グラララララ！！！今夜は宴だなァ！｣
おそらく、ナース長が知らせに行ったのだろう。
泣き止んだお嬢も、クスクス笑っていた。
｢おれ達が先に報告するもんだろ？｣
｢リアさんらしいけどね。きっと、今頃泣きながらマルコさん辺りに言いふらしてそうだわ。｣
｢違いねェな。…さて、おれ達も報告に行くか。｣
｢そうね。でも、少し待って、イゾウ。｣
｢ん？｣
胸元をぐいっと引き寄せられ、唇が触れた。
後頭部に手を回し、角度を変えて何度か啄むようなキスを繰り返した。
｢ありがとう。こんなに素敵な宝物をくれて。｣
｢それはおれも同じだ。ありがとう、A。｣
もう一度、今度は深く口付けを交わす。
それから腰を抱き寄せ、オヤジの部屋に向かった。
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雨音(プロフ) - メルディアナさん» 甘いのが続いたので、嫉妬系にしてしまいましたが、楽しんでいただけて良かったです！甘々も近いうちに書きますね。ありがとうございました！ (2022年7月21日 7時) (
レス) id: 95f98cf5bb (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - この話も良かったです。もっと甘いのも見てみたいです (2022年7月21日 0時) (レス) @page34 id: 4fe2c4e2da (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - メルディアナさん» いつもありがとうございます♪承りました！ (2022年7月17日 21時) (レス) id: 95f98cf5bb (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - お風呂でイゾウに抱かれる話をみたいです。 (2022年7月17日 15時) (レス) id: 4fe2c4e2da (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - とっても楽しかったです。ありがとうございました！ (2022年7月16日 23時) (レス) @page26 id: 4fe2c4e2da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨音 | 作成日時：2022年6月29日 23時
