怪我した彼女と甘い彼 5 ページ5
｢ありがとう、イゾウ。私と出会ってくれて、一緒にいてくれて。私を、愛してくれて。本当に、ありがとう。｣
改まったような物言いに目を見開いたイゾウは、すぐに真剣な表情になり、彼女に向かい合った。
｢それはおれの台詞だ。おれを思い続けてくれて、そばにいてくれて、支えてくれて。愛してくれて、ありがとう、A。｣
彼女の瞳からぽろぽろと零れ落ちる涙。
それを少し困ったように笑って、指で目尻を拭うイゾウ。
何度拭っても止まぬ涙に、ぐっと胸元へと引き寄せた。
｢おれにとってお嬢は、本気で惚れた、最初で最後の女だ。おれだけに見せる弱さも、負けず嫌いな所も、全部含めて惚れてるんだ。人生が終わるその日まで、離してやるつもりはない。…これから先、どんな事があっても、おれはずっと、お嬢のそばにいるよ。｣
｢貴方だけを、愛してるわ。これから先、何があったってこの気持ちは変わらない。ずっと、そばにいさせてね。｣
また、口付けを交わす2人。
お互いの気持ちを確かめ合うような、伝え合うような、そんなキスだった。
普段油断する事のない彼女が、不意をつかれ怪我を負った。
彼女の中で、色んな感情が渦巻いた事だろう。
『副隊長なのに情けない。クルー1人無傷で守れなくてどうする。皆に心配をかけた。迷惑をかけた。』
負けず嫌いで責任感の強い彼女の気持ちは、痛い程分かるのだろう。
彼等は似ているから。
だからこそ彼は全てを理解した上で受け止め、温かく、大きな愛情で包み込んだ。
彼女はまた涙を流したが、笑っていた。
｢早く治るといいな。治ったら、たくさんお礼させてね？｣
｢ああ、楽しみにしてる。…さて、何してもらおうかねェ。｣
｢私に出来る事なら何でも。考えておいてね。｣
｢ますます楽しみだ。｣
それから1週間後。
マルコの蒼炎と彼女の驚異的な治癒力により、すっかり治ったA。
マルコの診察の後、甲板にいたイゾウの元へと走り、抱きついた。
2人は今日までお休みらしい。
｢マルコさんが、もう大丈夫だって！｣
｢そりゃあ良かったよ。｣
｢イゾウのおかげよ！本当にありがとう！｣
｢…さて、部屋に戻るとするか。お礼、してもらわなきゃならないしねェ。｣
｢もちろん、喜んで！｣
彼は彼女の腰を抱き、歩き出した。
甲板にいた者達は2人の後ろ姿を、微笑ましく見ていた。
怪我した彼女と甘い彼 end.
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いかがでしたでしょうか。
お楽しみ頂けたら嬉しいです♡
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雨音(プロフ) - メルディアナさん» 甘いのが続いたので、嫉妬系にしてしまいましたが、楽しんでいただけて良かったです！甘々も近いうちに書きますね。ありがとうございました！ (2022年7月21日 7時) (
レス) id: 95f98cf5bb (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - この話も良かったです。もっと甘いのも見てみたいです (2022年7月21日 0時) (レス) @page34 id: 4fe2c4e2da (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - メルディアナさん» いつもありがとうございます♪承りました！ (2022年7月17日 21時) (レス) id: 95f98cf5bb (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - お風呂でイゾウに抱かれる話をみたいです。 (2022年7月17日 15時) (レス) id: 4fe2c4e2da (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - とっても楽しかったです。ありがとうございました！ (2022年7月16日 23時) (レス) @page26 id: 4fe2c4e2da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨音 | 作成日時：2022年6月29日 23時
