初めて出会った日 1 ページ35
＿Aside
当時の私は正直言って、お転婆娘で。
次期紅月家当主として厳しく育てられてきた反動か、自由に生きるおでん様に、憧れていた節があったのかもしれない。
時々私は、家を抜け出し、冒険と称したお散歩をしていた。
闇夜に紛れやすいよう、月の出ていない日を選び、よく出掛けていた。
時々家臣が着いてきていたのには気付いていたから、普通にバレていたみたいだけど。
それでも自由にしてくれていた両親には、感謝しかない。
その日は雪の降る、とても寒い日だった。
いつもより遠くに出掛けた私は、迷子になっていた。
花の都から出て、鈴後まで来ていたらしい。
一人では来た事がなかったから、ここはどこなのか、どこへ行けば帰れるのか、何も分からずにいた。
途方に暮れていると、べべん！と三味線の音がした。
引き寄せられるようにそちらへ行くと、私と同じ年くらいの子どもが二人。
一人は扇子を持って舞い、もう一人は三味線を弾いていた。
子どもながらに、身の運び方や所作が美しく、純粋に、綺麗だと思った。
会った事はないけど、彼らの事は一方的に知っていた。
父が罪人となり、一家離散した子らだと。
そういう噂を耳にしていたからだ。
そんな事も忘れて、私はその舞に夢中になった。
終わるまで邪魔にならない程度の距離から、瞬きをする事も忘れ、魅入っていた。
べべん！
最後の三味線が鳴り、男の子が扇子を畳んだのを見計らい、精一杯の拍手を送った。
他に見ていた人も、拍手していた。
その人達が傍らに置いてあった器に銀を入れているのを見て、慌てて持ってきたお小遣いを取り出そうとしたら、ひそひそと話すような、小さな声が聞こえてきた。
｢ここではもう、踊らないでほしいな。｣
｢罪人の子だ。正直言って、迷惑なんだよな。｣
聞こえるか聞こえないか...それくらいの声だった。
でも私にははっきりと聞こえてきた。
彼らには届いていないだろうか。
見れば悔しそうな、悲しげな表情をしていた。
歯を食いしばり、拳を震わせる男の子。
屈辱に耐えるその姿に、私の何かが切れる音がした。
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雨音(プロフ) - メルディアナさん» 甘いのが続いたので、嫉妬系にしてしまいましたが、楽しんでいただけて良かったです！甘々も近いうちに書きますね。ありがとうございました！ (2022年7月21日 7時) (
レス) id: 95f98cf5bb (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - この話も良かったです。もっと甘いのも見てみたいです (2022年7月21日 0時) (レス) @page34 id: 4fe2c4e2da (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - メルディアナさん» いつもありがとうございます♪承りました！ (2022年7月17日 21時) (レス) id: 95f98cf5bb (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - お風呂でイゾウに抱かれる話をみたいです。 (2022年7月17日 15時) (レス) id: 4fe2c4e2da (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - とっても楽しかったです。ありがとうございました！ (2022年7月16日 23時) (レス) @page26 id: 4fe2c4e2da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨音 | 作成日時：2022年6月29日 23時
