唯一無二の宝物 7 ページ12
部屋に着くと、父様はベッドに横になり、私をお腹の上に載せてくれた。
｢苦しくねェか？｣
｢ん、大丈夫。ねえ父様、もう少しだけ、お話したい。｣
｢グラララ…甘ったれだなァ。だが可愛い娘の頼みだ、断る訳がねェ。｣
｢ふふ、ありがとう。｣
｢……Aが、母親になるのか。感慨深ェな。｣
大きな手をそっと私のお腹に当てる。
両手でその手を握れば、父様はまた笑った。
たくさんの物を奪い、そして、それ以上の物を守ってきた手。
愛に溢れた、温かく偉大な手。
私はこの手が、大好きだ。
｢父様みたいな親になりたいな。優しくて、厳しくて…たくさんの愛で包み込んでくれる、そんな親になりたい。｣
｢お前ェらならなれる。だがおれみたいになんて思わなくていい。最初から立派に親になれる奴なんていねェよ。イゾウとA、2人で親になっていけばいい。｣
｢そう、よね。初めての事だから、どうしても不安になっちゃうみたい。｣
｢お前ら2人だけじゃねェ。おれも、息子達も、ナース達もいる。出来ねェなら頼れ。それが家族だ。皆で支え合っていけばいい。｣
｢うん、ありがとう、とう、さ、ま…｡｣
もっと話していたいのに、父様の声や心音が心地よくて、一気に眠気が襲ってきた。
重い瞼を必死に持ち上げようとすると、さらりと頭を撫でられる感覚がして、眠りへと誘われていく。
｢無理するな。もう寝ろ。…おやすみ。｣
｢おや、すみ…父様……。また、お話、しましょう、ね…。｣
遠くで扉をノックする音が聞こえたけれど、私の意識は深く沈んでいった。
＿イゾウside
マルコから話を聞いてからすぐ、隊員達との話を切り上げさせてもらい、船長室に向かった。
ノックすれば短い返事が返ってきた。
扉を開けると、お嬢はオヤジの腹の上で既に眠っていた。
頭を撫でる光景は、まさしく親子のそれだった。
｢来たか。どうする、運ぶか？｣
｢そのつもりで来たんだが…やめとくよ。代わりにおれもここで寝ていいか？｣
｢グラララ…珍しいな。ほら、こっち来な。｣
｢ありがとう、オヤジ。｣
オヤジの隣に寝転がれば、頭に大きな手の感触がした。
｢大事にしろよ。しっかり支えてやんな。お互い分かんねェ事ばかりだろうが、ちゃんと2人で、親になっていけばいい。｣
｢ああ。…頼りにしてる。｣
｢おう。初孫だしな。｣
小さく笑うオヤジは、本当に嬉しそうだった。
おれ達はもうしばらく話をしてから、眠りについた。
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雨音(プロフ) - メルディアナさん» 甘いのが続いたので、嫉妬系にしてしまいましたが、楽しんでいただけて良かったです！甘々も近いうちに書きますね。ありがとうございました！ (2022年7月21日 7時) (
レス) id: 95f98cf5bb (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - この話も良かったです。もっと甘いのも見てみたいです (2022年7月21日 0時) (レス) @page34 id: 4fe2c4e2da (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - メルディアナさん» いつもありがとうございます♪承りました！ (2022年7月17日 21時) (レス) id: 95f98cf5bb (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - お風呂でイゾウに抱かれる話をみたいです。 (2022年7月17日 15時) (レス) id: 4fe2c4e2da (このIDを非表示/違反報告)
メルディアナ(プロフ) - とっても楽しかったです。ありがとうございました！ (2022年7月16日 23時) (レス) @page26 id: 4fe2c4e2da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨音 | 作成日時：2022年6月29日 23時
