夢まぼろしを散らかして ○ ページ5
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「あああ!」
「なに」
「急に呼び出されたからまんまと忘れてやりましたよ」
「は?なにを?」
「吉沢さん、お賽銭恵んでくれませんかね」
「(笑)財布忘れたの?」
「もう携帯だけ持って出てきた!やっちまった」
「てへ!じゃねーし(笑)あわてんぼさんだな!っていうと思ったら大間違いだから(笑)」
「5円玉ください」
「あ。俺すげぇわ。2枚ありました」
「わー!ありがとう!!」
マフラーに顔を埋めてニコニコ笑うAの手のひらに5円玉。
近くの神社に少し遅めの初詣でも、と突然誘えばものすごい適当な格好で飛び出してきてくれた。
「だいぶ人通り少ないね」
「もうお正月は遥か彼方ですからね」
静かな夜に白い息が浮かんでは消える。
「コンビニとか携帯で払えちゃうからほんと財布持って出ないことも増えてさ、だめだね」
「時代に染まるねぇ」
「今はこーんーなーにーかなーしくてー」
「シィ!!夜中だから、今。歌わないで(笑)」
「時代とか言われたら歌いたくなっちゃうでしょ」
ニヒッと笑ったAの鼻が赤い。
どんな正月だったかと聞けば、お家でゴロゴロしてただなんて羨ましい限りのお正月。
「あ。」
「なに」
「ポッケに小銭入って」
大はしゃぎて開いた手には、小銭でもなんでもない家の鍵。
「小銭じゃなかった!」
バカとか、そんな言葉を簡単に言えてしまう仲だけど、言えるわけない。
そんな顔すんのか、ってAのあちらこちらに菅田くんが見える。
「5円渡したでしょ」
「うん、諦めて吉沢さんに借金しますね」
「100倍で返してください」
「500円になるの?これ?やだよ(笑)」
泣きそうな目に皺が寄って、楽しそうに笑う。
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haco.(プロフ) - 08さん» ありがとうでやす! (2022年6月27日 10時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
08(プロフ) - まってやす (2022年6月26日 0時) (レス) @page45 id: efa12fa1f1 (このIDを非表示/違反報告)
rinrin(プロフ) - haco.さん» あと少しのこのお話もまたいつか始まる菅田さんの物語も楽しみにしています!いつも素敵なお話ありがとうございます😌 (2022年6月15日 23時) (レス) id: 73e4a2e97b (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - ayakaさん» コメントありがとうございます☺️正直終われるのか?ってくらいに自分の中でまとまりのないストーリー展開になっておりまして(笑)終が2章にまたがるかもしれませんがもう少々お付き合い頂けますと嬉しいです☺️よろしくお願いします! (2022年6月15日 22時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - rinrinさん» rinrinさん!相も変わらず読んでいただけて嬉しいです。終わりに向かって徐々にお話も進んでいきますのでもう少々お付き合い頂けると嬉しいです☺️また菅田さんの後輩の物語書こうと思ってるので、その時も、是非ともよろしくお願いします。 (2022年6月15日 22時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:haco. | 作成日時:2022年5月16日 0時