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「おはよーございまーす」
「へ、あ、おはよー」
「菅田くん帰ったよ、代わりに吉沢亮でよろしいですか」
「(笑)言い方」
「起きたらガッカリされるかなと思ってすげーびびってましたー」
おでこからだらりと垂れた冷えピタを取りながら、なんだそれ、って笑う。
「熱下がった?」
「わかんないけどめちゃくちゃ元気!」
「菅田くん効果じゃん」
「やめろー!」
「痛っ(笑)」
「顔洗ってくる」
俺の頬をぐりぐりして、満足そうに寝室を出て行った。
長らく使われていなかったパーカーを羽織って部屋を出て行くんだから無性に淋しくなっちゃったりして。
俺も後を追ってソファーへ腰掛ける。
「おなはふいたへー(お腹すいたねー)」
歯を磨きながらリビングのドアからひょっこり顔を出す。
「なんか取るー?」
「んー」
頭をぽりぽり掻いていなくなる後ろ姿は、だらしなくて愛しい。
それから暫くして、慌ただしくドタドタと足音を立てて走ってきたAがソファーに勢いよく飛び乗って、綺麗に正座する。
「なに(笑)」
「元気になって嬉しい」
「よかったね(笑)」
「吉沢さんが来てくれて嬉しい」
「そうですか(笑)そう言ってもらえて俺も嬉しいですよ」
「ご心配おかけしました」
「ダブルでね。」
「なにが?」
「菅田くんから連絡きて、そろそろ帰るからあとはよろしく頼んだって」
「えー菅田さん保護者!」
「まぁ連絡きた時点で俺家の前にいたんだけどね」
「なんだ(笑)」
「ドア開けたら菅田くんいんのかーと思って手に汗握る瞬間だったわ」
「あはは!無事会えた?」
「会えた会えた、めっちゃ変な感じした」
慣れた手つきで一度消したはずの電気をつけて、慣れた声で俺を呼んで、慣れた顔で笑って、慣れた足音で靴を履いて、慣れた雰囲気でこの部屋を出て行った菅田くんに、完全敗北と言ったところ。
「吉沢さん何食べたい?」
「でもまだ消化にいいもんのほうがいいでしょ」
「あ!残ったソーメンたべよ」
「にゅうめんにする?」
「え!つくってくれるの!」
「まかせなさいよ」
不慣れな手つきで、つくってみせますよ。
俺がキッチンに立つと、新鮮ー!なんて大はしゃぎする彼女に、キラキラのスマイルで返す。
忘れてたな。
俺が菅田くんに勝るところ。
あんなふうに笑ってくれるだけで、めちゃくちゃ調子こけるんですよ、俺、単純だから。
確かに恋だった
どんな思いも恋のせい
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haco.(プロフ) - 08さん» ありがとうでやす! (2022年6月27日 10時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
08(プロフ) - まってやす (2022年6月26日 0時) (レス) @page45 id: efa12fa1f1 (このIDを非表示/違反報告)
rinrin(プロフ) - haco.さん» あと少しのこのお話もまたいつか始まる菅田さんの物語も楽しみにしています!いつも素敵なお話ありがとうございます😌 (2022年6月15日 23時) (レス) id: 73e4a2e97b (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - ayakaさん» コメントありがとうございます☺️正直終われるのか?ってくらいに自分の中でまとまりのないストーリー展開になっておりまして(笑)終が2章にまたがるかもしれませんがもう少々お付き合い頂けますと嬉しいです☺️よろしくお願いします! (2022年6月15日 22時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - rinrinさん» rinrinさん!相も変わらず読んでいただけて嬉しいです。終わりに向かって徐々にお話も進んでいきますのでもう少々お付き合い頂けると嬉しいです☺️また菅田さんの後輩の物語書こうと思ってるので、その時も、是非ともよろしくお願いします。 (2022年6月15日 22時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:haco. | 作成日時:2022年5月16日 0時