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「菅田さん」
お団子に閉じ込められた菅田さんの匂いをつつく。
思い出すことは、山ほどある。
「好きだったところは、意外と優しいと見せかけてどストレートに優しいところ。多分ツンデレなんですよね。そう信じてるんですけど。あと頭の回転がはやくてなんでも全部わかってくれて、私のことすぐアホって言うところ。あと笑った時のくっしゃくしゃの顔も好きだし、声も好きだなあ。譲れないのは鼻です。それから華奢な手というか指?なんだろ。溢れ出た色気とでも言いましょうかね。」
「なんか言うてない?」
「(笑)っくりしたー」
ヘッドホンを外してこちらを振り返る。
菅田さんの片方だけ上がった眉毛も、その眉間に寄った皺も、私を小馬鹿にしたような呆れた顔も、ぜんぶ好きだった。
「全然寝てへん(笑)寝る気あんのか、なあ」
「んふふ、ありまふ(あります)」
「あるんやったらあーだこーだ喋ってへんとはよ寝んかい!」
「ほめんなはい(ごめんなさい)」
「たくー!ほんまにー!」
私の両頬をいとも簡単につまみ潰してしまえる意外と男らしい握力も好きだったなんて言ったら、気持ち悪いって言うかな。
「あかん、病人やった」
「あはは、そう言うとこもですね」
「なにが」
「なんでもないです(笑)」
「気持ち悪うー」
私をジトーっと睨むように笑って、もう一度ヘッドホンをつけた。
「菅田さん」
「なに」
下を見て曲を選ぶ菅田さんの、声だけが返ってくる。
「菅田さんに会えてなかった時、菅田さんの夢見たんです」
「へぇ」
「夢に出てくる人って、今自分を思ってくれてる人が出てくるらしいんですけど」
「なに(笑)思ってたかって話?」
「そうですそうです」
「思われてるなーって思ったん?(笑)」
「思いましたねぇ(笑)」
「しあわせやなぁ、ほんま(笑)」
聴く曲を決めたらしい菅田さんのヘッドホンからかすかに漏れる音。
「菅田さんの夢に私出てきましたか?」
「なに?ごめん全然聞こえへんかった」
「んーん、頑張って寝ますって言っただけです」
「はい、おやすみ」
夢の中で、私は菅田さんとたくさん笑ってたんですよ。あの頃みたいに。
だから目が覚めて、菅田さんがいなくて、もう二度と会えないような気がして、泣きじゃくって目が腫れちゃって、杉野くんに「やば、え誰」って笑われたんですよ。
その時の杉野くんの顔が、本当にドン引きしてる顔で、面白かったんですよ、なんて。
そんな話も、菅田さんとしてみたかったな。
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haco.(プロフ) - 08さん» ありがとうでやす! (2022年6月27日 10時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
08(プロフ) - まってやす (2022年6月26日 0時) (レス) @page45 id: efa12fa1f1 (このIDを非表示/違反報告)
rinrin(プロフ) - haco.さん» あと少しのこのお話もまたいつか始まる菅田さんの物語も楽しみにしています!いつも素敵なお話ありがとうございます😌 (2022年6月15日 23時) (レス) id: 73e4a2e97b (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - ayakaさん» コメントありがとうございます☺️正直終われるのか?ってくらいに自分の中でまとまりのないストーリー展開になっておりまして(笑)終が2章にまたがるかもしれませんがもう少々お付き合い頂けますと嬉しいです☺️よろしくお願いします! (2022年6月15日 22時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - rinrinさん» rinrinさん!相も変わらず読んでいただけて嬉しいです。終わりに向かって徐々にお話も進んでいきますのでもう少々お付き合い頂けると嬉しいです☺️また菅田さんの後輩の物語書こうと思ってるので、その時も、是非ともよろしくお願いします。 (2022年6月15日 22時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:haco. | 作成日時:2022年5月16日 0時