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「この前美容院で髪切ってもらってたの。雑誌読むじゃん、タブレットか。そしたらAちゃんのインタビューあって」
「なんのやつ?」
「忘れた。でも初恋のこと話してて、めっちゃ菅田さんのこと好きじゃん!てちょっと心がじんわりしたね」
「やった(笑)」
「あーいいなー甘ずっぺぇなあって思って。いやさ、今までたくさん話聞いて来たけど、へーって聞き流してたから(笑)」
「聞いててよ(笑)」
「ちゃんと好きなんだなーって。ほら、俺の場合その相手が誰かも知ってんじゃん!だから余計に感情入っちゃって、泣きかけたもん(笑)」
「杉野くんが?」
「悪いの?(笑)」
肩を揺らして笑う杉野くんが、マグカップを両手に包んで、思い出すように言葉を絞り出す。
「告白もできないまま終わっちゃって?でもだからいい思い出のまましまっておける?とか楽しかったことばっかり思い出せるとかそんなん」
「恥ずかしいからやめてよ(笑)」
「しまえてねーんだよなーって(笑)」
「まだ忘れられないです!なんて言えないもん」
「まだ忘れらんねー!って言っちゃえばよかったのに(笑)」
「忘れようとは思わないけど、進まないとなぁとは思ってるからいいの」
「ようやくパンツ捨てれたし?(笑)」
「うん」
わたしの大切なパンツ。
菅田さんからもらった大切なパンツ。
あの夜といっしょに、捨てることにした一度しか履かれなかった菅田さんのパンツ。
「まぁAちゃんがいいならいんだけどさ」
「うん」
「てわけで腹減った」
「余韻は?」
「前進む、はい終わりー!ピザ取る?」
「サクサク進めるじゃん(笑)」
「切り替え大事っしょ、コーラ頼んでい?」
携帯でピザを頼む杉野くんを見て、こんな時でも菅田さんといた時のことを思い出す。
菅田さんは何を頼んだのかも思い出せないけど、一緒にピザを選んだ記憶と、食べた記憶がしっかりと残る。
「届くの20分後だって。」
「ありがと」
「しゃあなしですよ?俺の奢りなんで」
「やったー!嬉しい」
「前に進むって言うからめでたいなと思って」
「ありがとう」
「無理して進まなくていいけどさ、菅田さんのこと好きで楽しそうにしてたAちゃんの方がいいなと思うし、早く元気になりましょうの意味も込めてね」
恥ずかし、なんて言って照れた杉野くんに私まで照れた。
いつかの無垢を抱きしめる
はつ恋のとおり道
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ただの春なら何度でもくる ○→←いつかの無垢を抱きしめる △
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haco.(プロフ) - 08さん» ありがとうでやす! (2022年6月27日 10時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
08(プロフ) - まってやす (2022年6月26日 0時) (レス) @page45 id: efa12fa1f1 (このIDを非表示/違反報告)
rinrin(プロフ) - haco.さん» あと少しのこのお話もまたいつか始まる菅田さんの物語も楽しみにしています!いつも素敵なお話ありがとうございます😌 (2022年6月15日 23時) (レス) id: 73e4a2e97b (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - ayakaさん» コメントありがとうございます☺️正直終われるのか?ってくらいに自分の中でまとまりのないストーリー展開になっておりまして(笑)終が2章にまたがるかもしれませんがもう少々お付き合い頂けますと嬉しいです☺️よろしくお願いします! (2022年6月15日 22時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - rinrinさん» rinrinさん!相も変わらず読んでいただけて嬉しいです。終わりに向かって徐々にお話も進んでいきますのでもう少々お付き合い頂けると嬉しいです☺️また菅田さんの後輩の物語書こうと思ってるので、その時も、是非ともよろしくお願いします。 (2022年6月15日 22時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:haco. | 作成日時:2022年5月16日 0時