another lazy day. ( 終終 )

＿＿＿ ページ30

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「なあ、嶋名」
「はい」
「今日何食べたか聞いて」
「今日何食べましたか」
「すき家」
「ははっ(笑)やばいキュンとしました」
「まじで？めちゃくちゃのまれてもうてるやん(笑)」
「んはは、うん、のまれました」

恥ずかしいくらいにキュンとして思わず目を逸らしてうつむいた。
サラリと落ちてきた髪の毛が鬱陶しくて照れ隠しに耳へ掛け直す。

「本当に今日すき家食べたんですか？」
「食べてへん」
「うそついた(笑)あー寒くなってきましたね、もう指の感覚ないです」
「冷たッ」
「カッチコチです」

冷たくなった指先を菅田さんの頬へ押し当てた。
わたしの頬もすっかりカッチコチで笑うのが随分下手くそ。

「帰りましょっか」

立ち上がって滑り台から降りた。
まだ座ったままの菅田さんを見下ろして、帰りましょ、と足先を靴でつつく。

「やめろや(笑)」
「帰らないんですか」
「あれやな」
「何ですか、帰りたくない坊やですか？」

菅田さんの向かいにしゃがみ込んで顔を覗き込めば、菅田さんの綺麗な鼻先が真っ直ぐに地面を指す。

「菅田さん？」
「ちょっと待って」
「淋しん坊やですか？」

それきり黙ってしまった菅田さんが鼻をすする。

「お腹痛いですか？冷えました？」
「アホ(笑)」

ボタりと鈍い音を立てて菅田さんの靴に染みが広がる。

「菅田さん？何かありました？」

菅田さんの頬を両手で包んでこちらを向かせれば、少し潰れてしまった菅田さんの顔。
鼻の先まで涙の伝ったあとが残って、真っ赤な目がウサギみたい。

「失ったものばかり数えたらだめです、ないものはないんです、菅田さんにまだ残ってるものはなんですか？」
「めっちゃスパルタやんけ(笑)こんなとこでジンベエの名言出してくんなよ(笑)」
「んはは、菅田さんならわかってくれると思いました(笑)」
「はぁー、あかん、ほんま待って」
「いいですよ、失ったものを数えても、私も付き合います」

菅田さんの濡れたまつ毛が夜に光る。



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