another lazy day. ( 終終 )

なぞるのはいつも同じ朝 ○ ページ16

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「引くわ」
「潔くない？」
「白昼堂々と髪の毛全上げして来んなよ(笑)」

俺を待つ彼女は、変装ひとつしないで街に溶け込む。
真っ白な肌に真っ白なタンクトップに、少し黄味がかったオーバーオール。夏が眩しい。

「吉沢さんはもうオーラひとつないね」
「すっげー褒めてくれるじゃん」
「目ぇこわー(笑)」

片手に持った財布が、ちょっとそこまで感を醸し出す。本当にちょっとそこまで、くらいの感覚なんだろうけど。

「なんかね、めっちゃふわふわなの」
「どれー？」
「すごくない？これ、めっちゃふわふわなの」
「めっちゃふわふわ以外伝わってこねーな(笑)」
「(笑)もう私何味にするか決めたー」

暑いからかき氷を食べに行こうと昼前に電話がかかってきて呼び出しをくらって、真夏日の中重い腰を上げた。
俺が休みでよかったね、って言いたくなるくらいニッコニコしながら歩くから思わず釣られてニヤつく。

「そういえばゲーム進んだ？」
「結構進んだ」
「私が散々邪魔したところクリアしたの？」
「余裕、もうAとバイバイしてすぐクリアした」
「ちぇっ！！！」
「そりゃもうスムーズにクリアしました」

腹立つー！って笑う。
いっぱい邪魔したのにー！って笑う。

「あ、ココ。」
「まじか」
「なんで！！！」
「定休日じゃん。調べろよ(笑)」
「もう口の中がアールグレイティのかき氷を求めてるのに！」

どうしようどうしよう、ショックー！なんて言いながら俺の腕をパシパシと叩いて、挙句にはやっちまったー、って俺の腕に頭を預ける。

「吉沢さん家、かき氷機ある？」
「ない」
「ないの？」
「そんな目で見てもないもんはないの」
「買って帰るか、吉沢ん家に」
「(笑)買って置いてくの？それ」
「うん(笑)ふわふわの作れるやつ買おう」
「えー物増えんのマジでやだ」
「よしざーさーん」
「菅田さーんのノリで言うのやめてもらっていっすか(笑)魔法の言葉じゃないのよ」

知ってるんだ、と大口を開けて笑う。
いつか菅田くんが言ってたAの魔法の言葉。
菅田くんに甘える時の仕草は、多分もっと違うんだろうけど。

「んじゃ行くよー」

Aが俺の手を引っ張って歩く。
白昼堂々、太陽の下を。
グイグイと俺の手を引っ張って歩く。

「ねぇ、本当に買うの？」
「買おうよ」

振り返ったAの目があまりにもキラキラしてて、俺はただただAに引っ張られて歩く。



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