1.憂鬱な夏休み 利亜 ページ1
何時間という単位ではあるが、小学生の俺にとっては長かった移動が終わり、今。
うざったいほどに煩い蝉時雨、じりじりと地面から、天から注がれる熱気。
俺は例年通り、家族と共に京都の地に降り立った。
世の子どもたちは、今日の様な夏休みの日が楽しみなのだろう。
こうして県を超えて親戚の家に泊まりに行くなど、普通の小学生なら嫌なくらい喜びはしゃぐはずだ。
だが、俺は違う。
そんな楽しみ要素満載な中で、たった一つ加えてみろ。
それは、“従兄弟からの冷たい視線と暴言”だ。
正直思い出しただけで、暑いはずなのに顔が蒼くなる。
_________一気に憂鬱や……。
そんな風に、早速気分が沈んでいる俺の事など露知らず、母さんは「志麻ー、早くなさい!お迎え来てるわよー!」と急かした。
毎年、こうも駅までわざわざ迎えに来る程親切な家なのに、なぜ俺の従兄弟はあんな口をきくのだろうか……。
「はーい。」となるべく声色を明るく返事を返し、親戚の車に乗り込んだ。
父母と親戚の叔父さんとのくだらない会話等は全くもって耳に入っていない。
ただただ、「どうすれば従兄弟と仲良くなれるか」を考えるのに必死だった。
……まあ、俺は10才で、相手もそろそろしっかりしてきた頃である8才だから、もう手遅れなのかもしれないが……。
。・:+°
しばらく思案を巡らせていると、車が停車した。
車窓を覗けば、もう見慣れた日本古来の平屋。
あまり良い思い出の無い家だ。
両親の話によればもう既に従兄弟とその家族はこの家に来ているらしく、さらに気分は沈んでいく。
……古びた戸は、ガラガラと大きく音を立てて開いた。
少しゆっくりめに中へ上がっていく……ああ、もう見たくない。
俺の視線の先には静かに1人、ゲームに没頭している従兄弟がいた。
生まれつきであろう綺麗な金色の髪。その髪の毛は左側だけ長く、左目は少し隠れている。
俺とは違う切れ目は、俺ら家族の足音に気が付いたのかゲームから目を離す。
……その切れ目は俺を捉えると、更に鋭くなった。
「チッ……」
「っ……。」
毎年恒例、会う度の舌打ち。
年下の筈やろ……なんでぇ……?
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グレン - 利亜さん頑張って下さい!!!待ってま〜す! (2018年9月8日 10時) (レス) id: 6ba2a539d5 (このIDを非表示/違反報告)
グレン - これからもよろしくお願いします!!大好きです!! (2018年8月26日 21時) (レス) id: 1c34feec5e (このIDを非表示/違反報告)
優良(プロフ) - グレンさん» いえ、いつもご愛読ありがとうございます!これからもこの作品をよろしくお願い致します! (2018年8月26日 8時) (レス) id: 3c770cc14d (このIDを非表示/違反報告)
グレン - いえいえ、俺なんかがゴメンナサイ!!ゆっくりで大丈夫ですよ〜 (2018年8月26日 7時) (レス) id: 1c34feec5e (このIDを非表示/違反報告)
優良(プロフ) - グレンさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます、、!利亜が忙しいようなので落ち着いたらまた更新していきます!!暫しお待ちください、、すみません、、! (2018年8月23日 14時) (レス) id: 3c770cc14d (このIDを非表示/違反報告)
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