For example.【雪】 (ページ7)

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『まあ、ちょうどええか！
　ちょっと待っとってな』

　

　

　

　

　
パンっ、と何か思い付いたように手を叩いてから立ち上がると
バタバタと寝室から出ていった彼

　

　

　

　

　

それから少しして
トレイにティーカップを２つ乗せて戻って来た

　

　

　

　

　
　
『ほんまに開いてなかったわ、
　綺麗に箱のまんまとかヒドない？(笑)』

　
「んー、今日のためかな(笑)」

　
『絶対うそやん』

　

　

　

　

　
拗ね気味な彼はそうは言いながらも何故か嬉しそう

　

　

　

　

　

『はい、どうぞ』

　
　
「ありがと」

　
　
『ちゃんとAちゃんの好きなオレンジ入り』

　

　

　

　

　
鮮やかなオレンジが浮かんでいて
とっても良い香りがする綺麗な色のジンジャーティー

　

　

　
　

　

　
「美味し～」

　

　
『俺も飲も～、もー喉カラカラや』

　
　
「前、風邪引いた時もこれ入れてくれたよね」

　
　
『そうやったね、
　しかも生姜だからダイエットにもええんやて
　あ、Aちゃんは関係ないか』

　
「でも覚えとこ～」

　

　
　

　

　

　

　

あの時もなんかホッとしたんだよね

　

　

　

　

　
風邪引いた時とかって無性に寂しくなっちゃうけど
康二がいつも来てくれるから
寂しいとかってあまり感じたことなかった

　

　

　

　

　

　
『別に風邪の時だけやなくて、こうゆう時もええんやで』

　
　
「うん、私あんまり紅茶知らなかったから」

　
　
『女の子は冷やしたらあかんからな』
　

　

　

　
彼は側にいて欲しい時にいつもいてくれる

　

　
　

　

　
『あー、でもさっきのタクシーの状況
　大阪やったら大変なことなってたで？』

　
「普通あんまり道端で泣いてる人いないもんね」

　
　
『いや、酔って泣いてる人とかはよくおるよ(笑)
　けど昼間にあんな可愛い女の子が泣いてて
　一緒に乗りようもんなら、タクシーのおっちゃんに
　兄ちゃん何した？！って詰められるよ(笑)』

　
　
「危なー、東京で良かった～(笑)」

　
　
『完っ全に見えてないふりしてたもんな、あの運転手さん』

　

　

　
　

良い意味で無関心だからね、東京ってとこは

　

　

　
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