For example.【雪】 (ページ6)

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タクシーで私の家に帰った後
直ぐ様ベッドに寝るように促される

　

　
　

道中、体調悪いのは女子の日だということを伝えると
彼は大きくため息をついていた
　

　

　
　

　

　

『Aちゃん、俺怒ってんで』

　
　

「うん、ごめん」

　

　
『何で怒ってるかちゃんと分かってる？』

　
「途中で帰ることになっちゃって、」

　

　
『ちーがうよ』

　

　

　

　

　
康二はベッドに寝ている私に目線を合わせるように
ゆっくりしゃがんだ

　

　

　

　
『俺は、体調悪いってちゃんと言ってくれなかった事に怒ってる。
　何でいつも無理するん？
　Aちゃんに無理させる程、俺そんな頼りない？』

　

　
「ごめん、無理してるってわけじゃなかったんだけど‥」

　
　
『今日がそうやって知ってたら、あんな遠くて寒い店じゃなくて
　近いとこにしたしぃ、
　家でゆっくり映画でも見るっていうのでも良かったしぃ、
　
　あ、いや！そんなんより！
　今日じゃなくて別の日にしとったわ』

　

　

　

　

　

　
うーん、と考え込んでいたかと思えば今度は楽しそうに頬を緩めたり
閃いたように目を大きく開いたり
そんな彼を見ていると思わず笑いが込み上げてしまった

　

　

　

　
　

「ふふ(笑)」

　

　
『ちょ、何で笑うん？！』

　

　

　

　

　

突然笑い出した私に
意味分からんよ、と彼は困った顔で首をかしげる

　

　

　

　

　
　

　
「ごめんごめん
　なんかね、嬉しかったの
　康二が色々考えてくれてるのが」

　

『当たり前やん、考えるよそんなん』
　

　

　

　

　

　
ちゃんと正直に言っても良かったんだ、って思うと
一気に力が抜けて再び涙腺が緩んできた

　

　

　

　

『あぁ、もお～、泣かんといてよ～、
　俺、Aちゃんに泣かれたら敵わんわ』

　
「うん‥、これは嬉し涙だから気にしないで」

　

　

　

こんなに情緒不安定にもなっちゃうし
本当女子の日って厄介

　

　

　

　

　

『そうや、こないだ俺が持ってきたやつもう全部飲んだ？』

　

「あー、まだ開けてない‥(笑)」

　
『なんでよ～』

　

　

　

だって紅茶なんて普段自分で入れたことないんだもん(笑)

　

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