For example.【雪】 (ページ13)

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「とりあえず、もう帰りなよ？」

　
　
『今日、何時に終わる？』

　
「20時には終わりそうかな」

　

　

　

　
ふーん、と言って彼は
再び飲みかけのコーラに口を付けた

　

　

　

　
　
「ねえ、長谷川先生戻って来る前に行きなって」

　
『はいはい』

　

　

　

　

　
まだ本気で帰ろうとせず、のんびりしている蓮に
こっちが焦ってくる

　

　

　

　
『後でちゃんと来るっしょ？』

　
「うん」

　
『じゃあ帰る』

　

　

　

　

　
後ろから絞めるくらいのハグをして満足したのか
ようやく帰る気になった蓮

　

　

　
　

　

『じゃあね、A先生』

　
「いいから早く」

　

　

　

　

　
急かす私を気にもせず、彼は笑いながら職員室を出ていった

　

　
　

　

　

　
蓮が出てから数分して、予想通り戻って来た長谷川先生

　

　

　

　

　

　
良かった～、鉢合わせなくて

　

　

　

　

　
長『あ、A先生まだ頑張ってますね(笑)』

　
「はい、あともう少しです」

　

　

　

　

　
実際は蓮が来てから全然進んでないんだけどね

　

　

　

　

　
長『あれ？A先生、コーラ飲んでましたっけ？』

　
「えっ？」

　

　

　

　

　
長谷川先生の目線の先を辿ると、
私の机の上に置かれている飲みかけのコーラのボトル

　

　

　

　

は？

　

蓮のやつ！忘れてってる！？

　

　

　

　

　
「えぇ、ちょっと、気分転換に！」

　
長『いや、別に良いんですけど(笑)
　さっきなかったんで、あれ？って』

　
「そうでしたっけ、ずっと置いてましたよ？」

　
長『そっか、気のせいですかね‥』

　

　

　

　

　

　
少し不思議に感じているような長谷川先生の意識をコーラから背ける為、
必死でどうでもいい会話をしてどうにかその場をやり過ごした

　

　

　

　

　

　

　

　

蓮、コーラ忘れたでしょ

　

　

　

　

　

帰りに、忘れ物をした犯人にメッセージを送る

　

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