First Love. １【白】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:122,511 hit

５. ページ5

.

　

　
僕がそう言うと、お姉さんの顔が一瞬にして険しくなった

　

　
「もしかして、サボリ？
　遅れてもいい授業とかそんな授業ってないと思うけど

　ご両親に定期代払ってもらってるんでしょ？
　それならこんなとこで私にお礼する事考えるよりも
　ちゃんと学校行って早く授業受けなさい」

　

　

さっきまでの優しい雰囲気とは違う
厳しい口調のお姉さんにビックリして
僕は固まってしまった

　

　

　

　

『ごめんなさい、』

「……あっ、ごめん！！
　私、弟がいるからつい…、

　でもね、遅刻とかって癖になるから
　くだらないことでやらないほうがいいよ」

　

　
　
きつく言ってごめんね、と謝ったお姉さんは
優しい雰囲気に戻っていた

　

　

『はい…』
　
　
　
「ごめんね、お礼してくれるって言ってくれたのに」

　
『いえ』

　
　
「じゃあ、私ももう行かなきゃだから」

　

　

　
　

　
そう言って彼女はそのまま階段を上がっていき
すぐに見えなくなってしまった

　

　

　

　

僕はホームに突っ立ったまんま
今起きた事を１人振り返る

　

　

　

　

　
なんか…、

　
苦し…、

　

　

　

　
お礼が出来なかった事
サボっていると思われた事

　
そして
あんなにはしゃいで遅刻なんてして
挙げ句ド正論で怒られてすごく情けなかった事

　

　

　

　

色んな思いが一気に押し寄せて来て
胸が苦しくて涙が出そうだった

　

　

　
ふっかさんの授業、
もうこのまま休んじゃいたい

　

　

　

　
そう思った瞬間
頭をよぎったのはさっきのセリフ

　
思い出したらまた苦しくなって
やっぱりちゃんと行こう、と
真面目に遅刻して授業を受ける事を決め
急いで学校へ向かうことにした

　
.