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目が覚めた時には
目の前はもう、見知らぬ天井だった。
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あ 「…いっ、」
身体を起こそうとしたその瞬間。頭にほんの少しの痛みが走る。
私、体育館から出ようとして
それから、どうしたんだっけ…？
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『先生今から職員会議だから一回保健室出なくちゃいけないんだけど…』
『大丈夫っすよ。俺がずっと様子見てるんで。』
『そ、う。じゃあ何かあったらすぐに呼ぶのよ？』
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カーテンの向こうから聞こえて来たそんな会話。
そうか。ここは保健室なんだ。
何があったのかは覚えてはないけど…私。きっと倒れたんだ。
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あ 「…っ」
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さっきのこの声って…？
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突然開いた、閉ざされた目の前のカーテン。
その声の主はやっぱり"思っていた通り"の人だった。
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あ 「深澤、先輩…」
深 「Aちゃん…っ」
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名前を呼ぶと
大袈裟ってくらいにこちらに駆けて来る彼。
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深 「…ダメ。まだ横になってないと。無茶しないで。」
あ 「あ、の。私、」
深 「倒れたんだよ？パスしようとしたボールがAちゃんに当たって、脳震盪起こしかけてたって。はぁ…ほんとに無事でよかった……。」
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起こしかけた私の肩を優しく押すと、毛布をかけてくれる深澤先輩。
顔を俯けたまま、『よかった』そう何度も呟いてた。
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あ 「…ほんとにバカですね、私、」
深 「ううん。痛い思いさせてごめん。本当にごめんな。」
あ 「そんな…深澤先輩は悪くないです、」
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そんなことよりも、
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あ 「深澤先輩、試合は…？まだ終わってなかったですよね…？」
深 「…うん。抜け出して来た。」
あ 「もう私は大丈夫ですから戻って下さい…！」
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私が勝手にしたことで、深澤先輩に迷惑をかけてしまった。何してんだろ、私。
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本当に何して…
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深 「…戻らないよ。俺は。」
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あ 「えっ、」
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深 「…ここに居たいの。ずっとAちゃんの傍に。」
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深澤先輩が私の左手をギュッと包み込む。手と手から伝わる先輩の熱。
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初めて見る真剣な表情の深澤先輩から
つい目が離せなかった。
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作者名：くろーばー。
| 作成日時：2021年8月16日 10時
